レセプトで医療を知ろう
〜請求はとても簡単〜

(毎日新聞 「言」 より)

医療情報の公開・開示を求める市民の会
   事務局長 勝村久司

 病院で支払う医療費(自己負担分)の詳細な明細書をもらうことはできない。ところが、病院は患者負担分を差し引いた医療費の7〜8割を負担する健康保健組合に詳細な請求書を送っている。それがレセプト(診療報酬明細書)だ。
 レセプトには、病名のほか薬剤名や処置名、検査名などがすべて正式名称で単価とともに記されている。薬や点滴なども製品名で出ているため、製造した企業も調べることができる。
 厚生省は最近まで、レセプトを患者に見せないよう指導していたが、閉ざされた医療に対する医療被害者の長年の運動が実って、ようやく本人や遺族などに開示されることになった。
 開示の手続きは簡単だ。
大企業のサラリーマンなどは会社の健保組合、公務員は共済組合、政府管掌保険の人は社会保険事務所、国民健康保険や老人保険の人は各市町村役場の国保課窓口など、自分の加入する健康保険組合に請求する。
 本人確認用の運転免許証などを持参すれば、印鑑も手数料もいらず、後日郵送されてくる。複数の病院・複数の年月のレセプトを子供の分も含めて一度に請求できるので、家族の健康管理記録ができあがる。
 病院で支払った自己負担分の払い過ぎが、レセプトを見て簡単にわかるケースもある。レセプトの審査機関が、病院の不適切な請求と判断して請求額を減額すると、レセプトには訂正内容が記載されるからだ。払い過ぎがわかれば、病院に返還を求められる。
 ところが、自己負担分の返還額が月1万円以上の場合、本人に通知されることになっているが、国保の6割が通知を怠っていたことが最近発覚した。さらに、1万円に満たない場合には一切通知されない。
 自己負担分の払い過ぎは年間数百億円にのぼると推定されているが、多くの患者は医療費の払い過ぎがあっても知らないままだ。病気に適さない薬が処方されるケースもあり、健康とお金の両方を守るためにも、レセプトを定期的に入手し、内容を知っておくことが大切だろう。
 3月15日まで確定申告が行われている。医療費控除を申告する人も多いだろうし、役場で申告を受け付ける所もあるので、この機会にレセプト開示請求をしてみてはいかがだろうか。現代医療が抱えるさまざまな問題を経済的な観点から見つめ直すきっかけにもなると思う。

終わり