「2008年度 年頭所感」
(2008年1月1日)


医療情報の公開・開示を求める市民の会
世話人 勝村久司


 昨年は、それまで患者本人が見ることができなかったレセプト開示が実現してから、ちょうど10年目でした。厚生省(当時)はその直後から初めてカルテ開示に関する議論を始めましたが、いまだに薬害肝炎の被害者の多くが、自分に投与された血液製剤の名前がわからないように、診療情報の開示はまだまだ不十分です。
 思えば、1990年代初めの、診療情報が全く開示されなかった時代のインフォームドコンセントという言葉や、2000年代初めの、医療事故の情報が疫学的に収集・評価されていない中でのリスクマネージメントという言葉の医療界での流行は空虚なもので、いつの時代にも大切なことは情報公開だったのです。
 何十年も前から漫然と繰り返され、そして隠されてきた医療事故が10年ほど前からようやく表面化し始めました。同じように何十年も前から指摘されてきた、周産期医療を始めとする救急医療の軽視や、本当に必要な医療に価値をつけないことによる医療崩壊が、研修医制度変更を期にようやく表面化してきました。
 隠されてきた事実を表面化させてきたのは、数多くの医療被害です。被害によって失われた命を無駄にしないための取り組みは、常にただただ隠蔽・改竄との闘いでした。今も、インターネット上のデマや2次情報や3次情報しか知らない医師が、偏見によって被害者を誹謗中傷し続け検挙されるなど、医療倫理の崩壊もまた、収まる気配がありません。
 あらゆる医療問題は、情報公開を徹底することと、公益通報をする医療者を守ることが解決の切り札です。隠蔽や改竄ができないようにならば、それだけで、それとの闘いに過ぎない医療裁判もなくなり、被害から素直に学ぶ患者本位の医療が実現していくでしょう。逆に、本当の事実の追究に無関心な医療政策は、操作された情報を元に進められているのですから、今後も失敗を繰り返していくばかりでしょう。
 隠蔽やデマ等によって隠されてきた、不誠実な医療による悲しい被害がこれ以上繰り返されないことを願って、今年も、溢れるうわべだけの議論に惑わされることなく、医療界の底上げのために微力を尽くすつもりです。