声  明  文


 本日、ここに、多数の市民の皆様のご参加をいただき、薬害根絶を願う私たち「全国薬害被害者団体連絡協議会」が主催しました「第3回薬害根絶フォーラム」を盛大にとり行うことができました。かつ、皆様と薬害根絶の願いを共有できましたことを心から喜びたいと思います。
 薬害は、健康に出生するはずだった赤ちゃんから、病気を予防・治療するための予防接種や薬・輸血を受けた子どもたちを含め、多くの人々に、ある日突然に、悲惨な被害をもたらしました。死産や、治療法が無く無念にもなくなった子どもたち。さらには、重篤な障害を負わされた多くの被害者たち。家族との別離。死への恐怖。筆舌に尽くしがたい苦難の中で、「二度と薬害を起こしてはならない」と被害者や家族が立ち上がりました。
 私たちは、8月24日を「薬害根絶の日」と位置付け、昨日は「誓いの碑」の前で厚生労働省に対し「薬害の根絶」と「被害者の早期救済」を求めて要望書を手渡すと共に、交渉をいたしました。また、文部科学省とも交渉を持ちました。
 1980年代には、高校の教科書「現代史」には、サリドマイド・スモンなどが薬害として記載されていました。しかし、現在では欄外に名前だけが載っているのみで、薬害としての記述は無くなっています。その実状につきましては、私たちが作成しました「薬害が消される!〜教科書に載らない6つの真実〜」に詳しく書いてある通りです。厚生行政、製薬企業の責任を追及することは勿論のことですが、今もこれだけ多発し続けている薬害について、若い医師をはじめ、多くの医療の専門家がほとんど何も知らずにいることが、これまでの私たちの活動からも明らかになってきています。「医療関係者の多くが、多くの薬害の歴史や、薬害を起こした社会の背景を学ぶことなく医療に携わっている」・・・こんな恐ろしいことがあるでしょうか。何の注意も払わずに、外のあるクスリを投与したらどうなるか。その結果が、薬害を引き起こしているのではないでしょうか。今の状況のままでは、誰もが、薬害の加害者にも被害者にもなりうるのです。
 私たちは、文部科学省に「教科書に薬害の歴史と被害の事実を記述してください」等の要求をしています。しかし、同省は、学習指導要領と執筆者の正当性を主張し、私たちの要求や、そもそも薬害の存在すらを認めようとしません。厚生行政と同様、教育行政の壁も厚く、なかなか私たちの願いの実現は遠く感じられますが、私たちの願いは国民みんなの願いであり、健康で生きるための、人間としての当然の思いであります。
 これから生まれてくる赤ちゃんや、すくすくと育っている子どもたち、そして、社会の責務に頑張っている人々の現在や未来に、二度と悲惨な薬害が降りそそぐことのないように、私たちはこれからも、皆様と共に力を合わせて頑張りたいと思います。


2001年8月25日

全国薬害被害者団体連絡協議会