「声明」
第1回薬害根絶フォーラム(1999年10月23日)にて


 21世紀を迎えようとする今日、医薬品や医療の領域における国際化、高度化には、さらなる拍車がかかっている。このような現状については、国民の生活や健康に寄与する部分ばかりが強調され、ともすれば無批判な礼賛によって流されかねない。
 しかし、かつてサリドマイド、スモン、HIV等多くの悲惨な薬害が引き起こされた歴史を抱えながら、現在もなお、ソリブジン、医原性CJDなど同様の薬害が繰り返される構造は何ら変わっていない。いや、むしろ更なる薬害惹起の危険性は増しつつあるとさえ言える。
 私たち薬害被害者団体は、自らの筆舌に尽くしがたい苦痛に満ちた薬害被害の体験を踏まえつつ、「薬害根絶」を念願し、それぞれに活動を行ってきた。薬害被害者は、厳しい被害に遭いながらも、決して、ただ悲嘆に明け暮れる道を選ぶことはなかった。それぞれの悲しみ、怒り、思いを「薬害根絶」実現の闘いに結集してきたのである。
 本日、「薬害根絶」へ向けての願いは、団体の枠を越え、様々な被害の在り方の相違や世代の相違を越えて一つとなった。そして、全国薬害被害者団体連絡協議会への結集と薬害根絶フォーラムの開催は、全ての人々が有効で安全な医薬品の恩恵と医療サービスを享受することのできる社会の実現に向けた確実な第一歩となることは間違いない。
 これを機として、以下の声明を発表する。

一、国・製薬企業は、薬害発生の原因究明に全力を尽くし、その経緯を徹底して分析・検証せよ。
一、国・製薬企業は、医薬品が国民の健康と命を守るために提供されていることを再認識したうえで、徹底した情報開示を行え。
一、国・製薬企業は、私たちの被った被害の教訓を生かした薬害防止システムを早急に構築せよ。
一、国は、副作用被害者全てを対象とする無過失救済システムを創設せよ。
一、国は、「薬害根絶」へ向けて薬害発生の教訓を学校教育に反映させ、次世代のための糧とせよ。

 私たち全国薬害被害者団体連絡協議会は、「薬害根絶」を実現するべく、一致団結し、薬害防止システムを創出すべく、研究、提言、その他の活動に日々全力で取り組む。