緊急声明文
(2002年12月12日、全国薬害被害者団体連絡協議会)
本日、参議院厚生労働委員会において、「独立行政法人医薬品医療機器総合機構法」が可決された。私たち、薬害被害者団体から構成される「全国薬害被害者団体連絡協議会」(略称薬被連)は、法案を提出、可決した政府、与党に対し強い怒りと憤りの意を表明する。
これまで私たち同様、薬害根絶を希求する諸市民団体とともに、この法律が、薬害根絶に逆行するものであり、国民が安心して安全な医薬品を使用し、安全な医療を受ける権利を奪う結果をもたらすものであるとして、様々な問題点を指摘し法案に反対してきた。国会においても被害者の代表のみならず多くの議員が問題点を指摘し、多数の欠陥が明らかになったにもかかわらず十分な審議を拒否し本臨時国会において採決を断行する国会に対する不信の念を禁じえない。
私たち薬害被害者は、自らの薬害被害の苦しみと悲しみの体験から、二度と薬害発生の悲劇を繰り返したくないとの願いから、薬害発生の教訓を薬事行政並びに医療行政に生かすことが薬害再発防止に寄与することを確信し、政府に対し、さまざまな働きかけを行ってきた。独立行政法人医薬品医療機器総合機構の母体となった医薬品副作用被害救済・研究開発機構は、医薬品副作用被害救済基金であり、国の責任強化を盛り込んだ薬事法改正とともに薬害スモンの被害者が命がけで成立させたものである。開発振興部門と審査、安全監視部門の分離を目指した薬務局解体も薬害エイズ発生の反省に基づくものであったはずである。今回の法律可決は、これら長年にわたる薬害被害者の薬害根絶への努力を踏みにじるものであり、これまで国が各被害者と取り交わしてきた和解確認書に記載された薬害再発防止への確約を否定するものである。
今般国会において、厚生労働大臣は、年内に被害者団体と直接面談することを約束した。私たちは、厚生労働大臣が被害者と面談したうえで法律の可否を国会に委ねる意向を示したものと理解したが、本日の採決はハンセン、薬害ヤコブを解決に導いた大臣に対する信頼を裏切るものである。私たちは、一刻も早く厚生労働大臣と面会し、今後、国が私たち薬害被害者とともに薬害根絶を目指す意志があるのか否かを直接厚生労働大臣に問いたい。