2002年12月26日

厚生労働大臣 坂口 力 殿

全国薬害被害者団体連絡協議会
代表世話人 花井十伍

「独立行政法人医薬品医療機器総合機構法」に関する要望及び質問書

 私たち薬害被害者は、先の国会において成立した「独立行政法人医薬品医療機器総合機構法」について、その成立に至る過程は勿論、成立後においても許しがたい憤りと疑念、危惧を抱いております。
 新独立行政法人の母体である認可法人「医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構」は、薬害スモンの被害者が120日を越える大運動によって国の責任を認めさせ、設立させた「医薬品副作用被害救済基金」が前身となっています。これまで、本制度の改革にあたっては、当事者である被害者への事前の説明が行われた経緯があるにもかかわらず、今回は製薬企業には十分な説明を行いながら、当事者である薬害被害者には唐突で不十分な説明しか行われませんでした。こうした厚生労働省の姿勢は到底許されるものではありません。
 国民の生命と健康を守るべき厚生労働省が、この法案の立案過程において、過去の度重なる薬害被害の教訓から何一つ学ぼうとせず、厚生行政の果たすべき国民への責任を放棄し、国内外の製薬企業等からの要請に応えることのみに終始し、審議過程においても薬害被害者団体を中心とする市民の声に耳を傾けない不十分な審議の中で成立に至った事実には断固として承服できません。
 私たち薬害被害者は、今回のような制度改革にあっては薬害被害の教訓を生かすことこそが薬害根絶につながると確信しております。
 今一度、過去の薬害被害を思い起こし、それぞれの教訓が真に生かされるよう制度の見直しと具体的方策を早急に示される事を強く期待します。これを踏まえ、下記の要望及び質問に対し、大臣としての見解を示していただきたい。

 私たち薬害被害者は、薬害被害の教訓を制度改革に生かす事こそが、「薬害根絶」に絶対必要だと考えています。今回成立した、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法の具体的運用その他について、私たちとの定期的継続協議の場を設けていただきたい。

 参議院厚生労働委員会の決議を受けて、医薬品の研究開発振興部門を分離するための具体的方策と実現時期を教えてください。また、大臣は新独立行政法人の各事業を独立した組織体制で運営する旨の発言をしていますが、その方策、運営体制及び実現時期を具体的に明示していただきたい。

 大臣は新独立行政法人の諮問機関に医薬品等による被害者の意見を反映させたいと述べておりますが、これを実現するために薬害被害者の代表を複数参画させることを明言していただきたい。

 医薬品の臨床試験、承認審査、安全監視全体を監視する独立機関を設置していただきたい。また、生物由来製品の安全監視体制を強化するために国の疫学研究部門の強化と責任体制の見直しを行っていただきたい。

 医薬品副作用被害救済制度及び生物由来医薬品感染被害救済制度の救済対象範囲の拡大と給付内容の見直しにより、より多くの被害者が救済される制度としていただきたい。

以上


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