2003年3月18日
厚生労働大臣 坂 口 力 殿
全国薬害被害者団体連絡協議会
代表世話人 花 井 十 伍
「独立行政法人医薬品医療機器総合機構法」に関する要請書
私たち薬害被害者は、私たちが筆舌に尽くしがたい薬害被害の苦しみの体験から得た再発防止への教訓をもとに、薬害根絶にむけてさまざまな提言を行ってきました。先の国会において成立した、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下総合機構)法に関しても、同法が国の医薬安全行政根幹である、医薬品の安全監視、審査管理業務の大部分を独立行政法人に委託するのみならず、その運営費の多くを製薬企業に依存するものであり、政府原案においては、研究開発振興をも総合機構で行う内容であることなどの問題点を指摘し、厳しく批判しました。本来、医薬品の安全監視、審査管理は、国が直接行うべきであり、さらに、毒性試験の段階から審査、再審査、安全監視体制にいたるまでの全体を監視する、独立した第三者監視機関の必要性についても指摘してきました。残念ながら、私たちの薬害根絶への願いが、制度に十分反映されることはありませんでしたが、せめて総合機構が企業利益ではなく国民の生命と健康をまもる役割を果たす事を期待し、国会及び私たちと厚生労働大臣との面談の場における議論を踏まえ、総合機構の設置、運営に関し以下の通りの要請を致します。
1、審議機関について
・審議機関は、単なる諮問機関とすべきでなく、広く総合機構の運営、業務に関する審議を行い、法律上根拠を明示すること。
・審議機関は、薬害被害者複数および薬害被害者の推薦する法律家、医薬品評価の専門家を含んだ構成であること。
・審議内容は法人運営に関する事項と個別業務に関する事項全般であること。
・開催は年間4 回以上とし、それぞれの審議機関は、委員の要請により委員長が適宜臨時に招集しなければならない。
・審議会および部会は原則公開とし、会議の非公開および資料の非公開の必要がある場合は、その理由を公開し、審議会の承諾を得る事とする。なお、議事録については、議事の全てについて作成し、全文を速やかに公開するべきである。
・委員長は委員の互選で選任するべきである。
2、審査・管理部門について
・審査・管理部門には、私たちが推薦する医薬品評価の専門家をより多く採用するべきである。
・製薬企業出身者は採用するべきではない。
3、安全監視部門について
・安全監視部門については、私たちが推薦する、医薬品評価の専門家等をより多く採用するべきである。製薬企業出身者は採用すべきではない。
・先端技術の専門家や感染症の専門家などを含む質の高い人材を多く擁した査察チームを充実させるべきである。
・再審査、再評価、審査資料適合性調査業務は製薬企業の資金を遮断して、充実をはかるべきである。その際、データの作成に関与した医師の中立性や専門性も審査の対象とするべきである。
4、救済部門について
・常に薬害被害者を含む第三者によって評価を受ける体制とせよ。
・副作用情報を安全対策部門に報告する体制を構築するべきである。
・副作用被害救済業務において薬害被害者の関与を認めよ。
5、研究開発振興部門について
・研究開発振興部門の分離は総合機構成立と同時に行うべきである。
・研究開発振興を行う分野については、常に患者の利益を第一とし、利益追求するあまり、患者の弱みにつけ込むようなことにならないよう、十分監視すること。
6、役員について
・ 薬害被害者を役員として採用せよ。
以 上