要 望 書
2002年 8月 23日

文部科学大臣 遠山 敦子 殿

                    全国薬害被害者団体連絡協議会
                  MMR(新3種混合ワクチン)被害児を救援する会
       大阪HIV薬害訴訟原告団
   京滋筋短縮症の会
                  財団法人 いしずえ(サリドマイド福祉センター)

       財団法人 京都スモン基金
          陣痛促進剤による被害を考える会
       スモンの会全国連絡協議会
     東京HIV訴訟原告団
              薬害ヤコブ病被害者・弁護団全国連絡会議
           代表世話人 花井 十伍

<文部科学行政全般に関して>

1.平成14年3月25日、ヒト乾燥硬膜ライオデュラの移植によりクロイツフェルト・ヤコブ病に感染した患者本人とその家族・遺族と厚生労働大臣及び被告企業らとの 間で和解が成立したことは、記憶に新しいことである。その確認書の中で厚生労働大臣は、「我が国で医薬品等による悲惨な被害が多発していることを重視し、その発生を防止するため、医学、歯学、薬学、看護学部等の教育の中で過去の事件等を取り上げるなどして医薬品等の安全性に対する関心が高められるよう努めるものとする。」と約束されている。その約束が果たされるために文部科学大臣としてどのような取り組みをなしていくのかを明らかにされたい。その取り組みはこれからの様々な要望事項に対する根幹になると考えられる。

2.昨年度の前回の交渉で、文部科学大臣自身が直接、全国薬害被害者団体連絡協議会と面談する機会をつくる旨の約束がされたが、いまだに実施されていない。早急に実施されるために、面談の具体的日時についての提案をされたい。

<公教育(小・中・高)に関して>

1.来年度の高等学校での新学習指導要領の実施により、今回の一連の指導要領改訂が終了するが、次回の小学校・中学校・高等学校の学習指導要領の改訂時には、薬害の歴史や薬害再発防止に寄与する教育の充実を求め、学習指導要領にその旨の記載がなされることを強く要望したいと考えている。そこで、次回の改訂は、早ければ何年度に実施されうるかを明らかにされたい。また、その際の、改訂作業の年次別スケジュールも明らかにされたい。

2.小学校、中学校、高等学校で実施または試行されている「総合的学習の時間」の中で、薬害問題や医療問題に関する授業、及び医療消費者教育に関する実例がどの程度あるかを明らかにされたい。また、文部科学省として、総合的学習の時間を利用して、どのような薬害防止教育や医療消費者教育が可能であると考えるか、その見解を示されたい。

<高等(専門)教育に関して>

1.医療従事者のための高等教育においては、薬害を薬理学などの医学的な観点だけでなく、医療倫理学や社会学および人権学習的な観点から学ぶ必要があると考える。早急に、国立大学のカリキュラム等を、適切なものに変更されたい。

2.高等教育において、将来医療従事者になる学生が、薬害被害者の意見・体験を直接聞くことは悲惨な薬害を繰り返さないためにも、貴重な体験につながると考えられる。我々薬被連はいつでも講師として、薬害の実態を学生に話していく準備がある。文部科学省として、そのような教育を推奨するよう通達されたい。

<生涯学習に関して>

1.消費者教育・人権学習などにおいて、薬害問題なども忘れずに取り上げることと、その際には、当事者である被害者の声を大切にした講座・シンポジウムを積極的に開催するよう、全国の知事を通じて各自治体に通達されたい。また、既にその旨の通知が発せられている場合は、その内容を明らかにされたい。

<国立大学付属病院に関して>

1.国立大学付属病院で、薬害被害者や医療被害者の声を直接聞く職員研修を実施されたい。早急に、全国薬害被害者団体連絡協議会の関係者を講師に招く取り組みを始められたい。

2.国立大学付属病院において、カルテ開示ガイドライン施行以降、本人及び遺族から開示請求はどれくらいあったかをそれぞれ病院別に明らかにされたい。また、その際の開示状況についても明らかにされたい。

3.国立大学付属病院において、患者が自己負担分を支払う際に、投薬された薬剤の正式名や単価がわかる明細を記した請求書(または領収書)を発行していく旨の方針が昨年の交渉で示された。その後の進捗状況について明らかにされたい。また、薬剤だけに関わらず検査、処置に関しても、正式名や単価がわかる明細を発行されるよう要望する。

以 上


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