2003年8月22日
文部科学大臣
遠山 敦子 様
全国薬害被害者団体連絡協議会
世話人代表 花井十伍
私たちは、1999年8月24日に厚生労働省敷地内に「薬害根絶誓いの碑」が建立されて以来、毎年8月24日を「薬害根絶の日」と定め、被害者が一堂に会し、多発している薬害の根絶を目指して、行政との話し合いをすすめています。
今年も8月22日午前10時30分より、第5回目となる文部科学省交渉を実施したく、よろしくお願い致します。
また、一昨年度の3回目の交渉で、文部科学大臣自身が直接、全国薬害被害者団体連絡協議会と面談する機会をつくる旨の約束が、同席していた民主党の枝野議員の発言を受けてなされましたが、いまだに実施されていません。大臣が何かとお忙しいことは承知の上ですが、繰り返されている薬害被害の根絶には、的確な文部科学行政が必要であることを知って頂くために、ぜひ、直接私たちとの声を聞いて頂きますようお願い申し上げます。
要望・質問書
<文部科学行政全般に関して>
1.昨年3月25日、ヒト乾燥硬膜ライオデュラの移植によりクロイツフェルト・ヤコブ病に感染した患者本人とその家族・遺族と厚生労働大臣及び被告企業らとの間で和解が成立したことは、記憶に新しいことですが、その確認書の中で、「我が国で医薬品等による悲惨な被害が多発していることを重視し、その発生を防止するため、医学、歯学、薬学、看護学部等の教育の中で過去の事件等を取り上げるなどして医薬品等の安全性に対する関心が高められるよう努めるものとする。」と約束されています。ところが、昨年の第4回目の交渉で、この約束を受けて文部科学省としてどのような取り組みをなしていくのかをたずねたところ、和解確認書の内容自体を文部科学省が把握していないということが明らかになりました。改めて、この確認書を受けて、文部科学省がとりおこなう取り組みを具体的に明らかにされたい。
<公教育(小・中・高)に関して>
1.私たちは、子どもたちを薬害の被害者にも加害者にもしたくないという思いから、次回の小学校・中学校・高等学校の学習指導要領の改訂時には、薬害の歴史や薬害再発防止に寄与する教育の充実を求め、学習指導要領にその旨の記載がなされることを強く要望したいと考えている。そのことに関する文部科学省の見解を明らかにされたい。
2.薬害防止教育や医療消費者教育の推進のためには、現状の把握が欠かせない。小学校、中学校、高等学校で実施されている授業や「総合的学習の時間」等の中で、薬害問題や医療問題をテーマにした内容や医療消費者教育に関する実例がどの程度あるかの調査を年内を目途に実施されたい。
<高等(専門)教育に関して>
1.医療従事者のための高等教育においては、薬害を薬理学などの医学的な観点だけでなく、医療倫理学や社会学および人権学習的な観点から学ぶ必要があると考える。国立大学等のカリキュラム等を、適切なものに変更するためには現状の把握が欠かせない。年内を目途に、医療従事者のための高等教育においてどの程度、適切な医療倫理や人権学習等がなされているかを調査されたい。
2.高等教育において、将来医療従事者になる学生が、薬害被害者の意見・体験を直接聞くことは悲惨な薬害を繰り返さないためにも、貴重な体験につながると考えられる。我々薬被連はいつでも講師として、薬害の実態を学生に話していく準備がある。文部科学省として主体的に、そのようなことが推進されるための具体的な取り組みをされたい。
3.医学・薬害教育等の問題を議論する文部科学省の審議会や検討会に議論に、私たち全国薬害被害者団体連絡協議会の代表者が委員として参加できるように要望する。
<生涯学習に関して>
1.全国の自治体で実施されている消費者教育・人権学習などにおいて、薬害問題を含める医療問題や医療消費者教育などがどれほど取り上げられているかを年内を目途に調査されたい。また、それらの具体的な実施例をパンフレット等に作成して、全国に配布されたい。
<国立大学付属病院に関して>
1.国立大学付属病院で、薬害被害者や医療被害者の声を直接聞く職員研修を義務付けよ。早急に、全国薬害被害者団体連絡協議会の関係者を講師に招く取り組みを始められたい。
2.国立大学付属病院において、カルテ開示ガイドライン施行以降、本人及び遺族から開示請求はどれくらいあったかをそれぞれ病院別に明らかにされたい。また、その際の開示・非開示状況(非開示事例については理由も含む)についても明らかにされたい。
3.国立大学付属病院において、患者が自己負担分を支払う際に、投薬された薬剤の正式名や単価がわかる明細を記した請求書(または領収書)を発行している大学が昨年時点で2大学であることが昨年の交渉で示された。その後の進捗状況について明らかにされたい。また、薬剤だけに関わらず検査、処置に関しても、正式名や単価がわかる明細を発行されるよう要望する。
以 上
全国薬害被害者団体連絡協議会
財団法人いしずえ(サリドマイド福祉センター)
MMR被害児を救援する会
財団法人 京都スモン基金
大阪HIV薬害訴訟原告団
東京HIV訴訟原告団
京滋筋短縮症の会
薬害肝炎訴訟原告団
陣痛促進剤による被害を考える会
スモンの会全国連絡協議会
薬害ヤコブ病被害者・弁護団全国連絡会議
2003年8月
文部科学大臣
遠山 敦子 様
全国薬害被害者団体連絡協議会
世話人代表 花井十伍
『薬害根絶デー』への出席を要請いたします。
大臣におかれましては、日々の文部科学行政へのご尽力に対し、敬意を表します。
さて私達は毎年8月24日を「薬害根絶の日」と定め、多発している薬害の根絶を目指して、被害者が一堂に会して行政との話し合いをすすめております。
今年も下記の要項で「薬害根絶デー」のとりくみをいたします。ご多忙とは存じますが、ご出席いただいて御一緒にお考えいただきたいと思います。
特に、午前中に予定されています「文部科学省交渉」は、毎年1回行われ、今年で5回目になります。
1回目では、担当官僚が「薬害」と「薬物乱用」を混同した回答に終始し、翌年の2回目の交渉は、薬害に対する理解と認識不足への謝罪から始まるというものでした。
また、昨年3月25日、ヒト乾燥硬膜ライオデュラの移植によりクロイツフェルト・ヤコブ病に感染した患者本人とその家族・遺族と厚生労働大臣及び被告企業らとの間で和解が成立したことは、記憶に新しいことですが、その確認書の中で、「我が国で医薬品等による悲惨な被害が多発していることを重視し、その発生を防止するため、医学、歯学、薬学、看護学部等の教育の中で過去の事件等を取り上げるなどして医薬品等の安全性に対する関心が高められるよう努めるものとする。」と約束されています。ところが、昨年の4回目の交渉では、そのような和解確認書の内容自体を文部科学省が把握していないということが明らかになりました。
さらに、一昨年度の3回目の交渉で、文部科学大臣自身が直接、全国薬害被害者団体連絡協議会と面談する機会をつくる旨の約束が、同席していた民主党の枝野議員の発言を受けてなされましたが、いまだに実施されていません。
何かとお忙しいことは承知の上ですが、繰り返されている薬害被害の根絶には、的確な文部科学行政が必要であることを知って頂くために、ぜひ、「薬害根絶デー」(特に文部科学省交渉)にご参加頂きますよう、お願い申し上げます。
記
日 時 2003年8月22日(金)
行 程 文部科学省交渉 10:30〜12:00
リレートーク 昼の時間帯に厚生労働省前にて
碑の前行動 13:00〜13:30
厚生労働省交渉 14:00〜16:00
全国薬害被害者団体連絡協議会
財団法人いしずえ(サリドマイド福祉センター)
MMR被害児を救援する会
財団法人 京都スモン基金
大阪HIV薬害訴訟原告団
東京HIV訴訟原告団
京滋筋短縮症の会
薬害肝炎訴訟原告団
陣痛促進剤による被害を考える会
スモンの会全国連絡協議会
薬害ヤコブ病被害者・弁護団全国連絡会議