2004年8月

 文部科学大臣
  河村 建夫 様

     全国薬害被害者団体連絡協議会
  世話人代表 花井十伍

 私たちは、1999年8月24日に厚生労働省敷地内に「薬害根絶誓いの碑」が建立されて以来、毎年8月24日を「薬害根絶の日」と定め、被害者が一堂に会し、多発している薬害の根絶を目指して、行政との話し合いをすすめています。
 今年も8月24日午前10時30分より、第6回目となる文部科学省交渉を実施したく、よろしくお願い致します。

要望・質問書

<文部科学行政全般に関して>

1.これまで薬害が漫然と繰り返されてきたことと、文部科学行政は無縁ではありません。そのことを訴えるために文部科学省交渉が始まり、3回目となる3年前の交渉で、文部科学大臣自身が直接、全国薬害被害者団体連絡協議会と面談する機会をつくる努力をする旨の発言が、同席していた民主党の枝野議員の発言を受けてなされましたが、いまだに実施されていません。大臣が何かとお忙しいことは承知の上ですが、繰り返されている薬害被害の根絶には、適切かつ的確な文部科学行政が必要であり、そのために大臣自身がそのことを認識して頂くことが必要です。ぜひ、直接私たち薬害被害者の声を聞いて頂く機会を作って頂きますようお願いします。

<公教育(小・中・高)に関して>

1.私たちは、子どもたちを薬害の被害者にも加害者にもしたくないという思いから、次回の小学校・中学校・高等学校の学習指導要領の改訂時には、薬害の歴史や薬害再発防止に寄与する自然科学的・社会科学的・人権教育的な教育の充実を求め、学習指導要領にその旨の記載がなされること、さらに実際に教科書に、被害者の視点に立った薬害の歴史や、消費者の立場にたった健全な医療消費者教育をすすめるための記述がなされることがとても大切であると考えています。そのことに関する文部科学省の認識を明らかにして下さい。

2.薬害防止教育や医療消費者教育の推進のために、薬害被害を受けた当事者の視点に立った薬害の歴史や、薬を使用する消費者として必要な項目を記載した教科書の副教材となる冊子を作成し、全国の子どもたちに配布して下さい。

<高等(専門)教育に関して>

1.2002年3月25日に、CJD薬害の被害者と国との間で交わされた和解確認書には『我が国で医薬品等による悲惨な被害が多発していることを重視し、その発生を防止するため、医学、歯学、薬学、看護学部等の教育の中で過去の事件などを取り上げるなどして医薬品の安全性に対する関心が高められるよう努めるものとする』という一文が明記されています。この和解確認書の主旨に沿って、薬学教育のカリキュラムにも、薬害再発防止のために具体的に過去の薬害を学ぶことを明記して下さい。

2.昨年度まとめられた「薬学問題に対する各大学の取り組み状況」に関して今年度現在のものを明らかにして下さい。また、この調査に関しては、今後当分の間、毎年状況把握をして下さい。また、昨年度の集計の中には、薬害被害者の話を聞いたことのある専門家の講義を、当事者(薬害被害者)から直接話を聞いた授業、として報告していた大学があった、とのことが新聞社より指摘されています。薬害を知らない医療従事者がつくられてしまわないよう、今後とも、各大学において、適切な医療倫理と人権学習等がなされていくよう指導を充実させて下さい。

3.昨年度の交渉以降、私たちは「『薬学教育の改善・充実について』中間まとめ」に対して意見を提出したり、「看護教育の在り方に関する検討会」で意見陳述をしたりしてきました。その後のこれらの進捗状況と、今後、これらを活かして、どのように高等教育に関して医学・薬学・看護教育を改善していこうと考えられているのかを明らかにして下さい。

4.今後行われる医学・薬害教育等の問題を議論する文部科学省の審議会や検討会に議論に、私たち全国薬害被害者団体連絡協議会の代表者が委員として参加できるようにして下さい。

<生涯学習に関して>

1.全国の自治体で実施されている消費者教育・人権学習などにおいて、薬害問題を含める医療問題や医療消費者教育などがどれほど取り上げられているかを年内を目途に調査してください。また、それらの具体的な実施例をパンフレット等に作成して、全国に配布して下さい。

<国立大学付属病院に関して>

1.国立大学付属病院で、薬害被害者や医療被害者の声を直接聞く職員研修を積極的に実施して下さい。また、早急に、全国薬害被害者団体連絡協議会の関係者を講師に招く取り組みを始めて下さい。

2.国立大学付属病院において、カルテ開示ガイドライン施行以降、本人及び遺族から開示請求はどれくらいあったかの調査を今年度分も実施して下さい。また、今後当分の間、この調査を続けて下さい。さらに、昨年度の非開示事例にの内、「診療への支障」を理由にしたものについては、請求者がそのことについて納得しているのかどうか等、事後の患者と病院との信頼関係の問題についても調査して下さい。

3.国立大学付属病院において、患者が自己負担分を支払う際に、投薬された薬剤の正式名や単価がわかる明細を記した請求書(または領収書)を発行している大学が昨年時点で2大学、薬剤名を記したものが3大学であることが昨年の交渉で示されました。その後の進捗状況について明らかにして下さい。そして、さらに多くの国立大学で同様の情報提供がなされるよう通知を出すなどの努力をして下さい。さらに、薬剤だけに関わらず検査、処置に関しても、患者が自己負担分を支払う際に正式名や単価がわかる明細を発行されるよう要望します。

以 上

全国薬害被害者団体連絡協議会              
財団法人 いしずえ(サリドマイド福祉センター)  
               MMR(新3種混合ワクチン)被害児を救援する会
               財団法人 京都スモン基金              
               大阪HIV薬害訴訟原告団               
               東京HIV訴訟原告団                  
               薬害筋短縮症の会                   
               薬害肝炎全国原告団                 
               陣痛促進剤による被害を考える会         
               スモンの会全国連絡協議会              
薬害ヤコブ病被害者・弁護団全国連絡会議    


文部科学省交渉(2004年8月24日)交渉内容全文

――花井:おはようございます。全国薬害被害者団体連絡協議会の代表世話人をやっています花井といいます。よろしくお願いいたします。あの、文科省さんにおかれましてはもう4回、4年目の協議でございまして、特にここ数年、医学教育、薬害教育等におきましてですね、薬害の問題ということを非常に重視されているということで、感謝しております。本日は要望書を取りまとめてきましたので、要望書をお渡しして、それをもとに協議をさせていただけたら、と思います。特に初等教育、小・中・高ですね、これにいたりしましては私どもも問題意識を持ってまいりましたけれども、なかなかこれが、いろいろと大変な、いろいろなハードルがございまして、かならずしもそのへんがうまくいっていないというところもございますので、そのへんを中心に中身のある議論ができたら、と考えております。本日はよろしくお願いいたします。今日は、本多先生も同席していただだいておりますので、また随時、先生のほうからもご意見等いただけたらと思っています。よろしくお願いします。では要望書をお渡しします。担当の陣痛促進剤被害者連絡会……じゃ、私のほうから。では。
 文部科学大臣 河村建夫さま。全国薬害被害者団体連絡協議会代表世話人・花井〓。私たちは1999年8月24日に、厚生労働省室内の、薬害根絶誓いの碑が建立されて以来、毎年8月24日を薬害根絶の日と定め、被害者が一同に会し、多発している薬害の根絶をめざして、行政との話し合いをすすめております。今年も8月24日午前10時より――今日ですね、第5回目となります。文部科学省交渉を実施することにしますのでよろしくお願いします。要望・質問書は随時、またこれで扱っていきたいと思いますので読み上げません。平成14年1月。よろしくお願いします。

――勝村:書面のなかには5回目と書いてありますが、6回目なのですよね。

――花井:あ、6回目になりますか。

――勝村:はい、6回目になります。それで過去5回と6回目ということです。昨年度も司会進行役をさせていただきましたので、させていただきます私、勝村と申します。よろしくお願いします。今日は11時半から45分までには終わりたいと。次の予定が入っておりますので、その間、ご協力のほうよろしくお願いいたします。この間ずっと、私たちの交渉を見守っていただいております、本多先生のほうにも来ていただだいておりますので、ちょっと最初にご挨拶をお願いいたします。

――本多:本日はみなさん、ここにお集まりいただいたことに敬意を表したいと思います。そして文部科学省のみなさんもお忙しいなか、みなさんの要望に応えてこういう場をつくっていただいたことに感謝をしたいと思います。ただいまご紹介をいただきました私、――去年の総選挙で出て、4月に繰り上げで当選をしました衆議院議員の本多平直と申します。民主党です。ずっと枝野幸男という、薬害の問題をみなさんと取り組ませていただいてきた民主党の議員の政策秘書を9年間やってきましたので、薬害エイズの問題も枝野と一緒にやってきましたし、実はこの文部科学省さんとの交渉も6回目になるそうなのですが、過去5回のうち4回ぐらいはこの場にみなさんと同席して、枝野とのやりとりも聞いてきましたので、一歩ずつは進んできているところはあるとはいいながら、なかなか厳しいところもあると思いますので、ぜひとも今日はみなさんの要望を、文部科学省のみなさんも真摯に受け取っていだだいて、しっかりといい答弁をしていただいて、私もそのことを国会でしっかりチェックをしていきたいと思いますので、今日はどうぞよろしくお願いを申し上げます。

――勝村:今日は資料も用意していただいているようで、まだ僕は目を通せてないのですけれども、あらかじめお願いしておりました要望書の順にまずご回答いただければと思います。まず最初に、文部科学行政全般に関して、ということで、私たちも各団体――これまで厚生労働省とはそれぞれ交渉してきた団体ばかりなのですけれども、本当に日本の医療をよくしていくというか、本当に薬害をなくしていくというためには文部科学行政が本当に非常に大事だということで、みんなが集まった時に一致しまして、それでやってきておるわけです。その気持ちというか、本当にそうだと私たちは確信しておるわけです。医療をよくしていくためには。そのことを本当に大臣に伝えたい、ということをずっと言ってきておりまして、なるほど医療問題というのは厚生労働省だと思っていたけれども、文部科学省、自分のところが大事なのかということを、本当に大臣にまずわかってもらいたいということで、ずっとこの間お願いしてきたところで、一定理解いただけたような回答もあった時期があったのですけれども、ちょっとこの間、なっているということで。今日は来られないということなのですけれども、なんとか別の日でも日程調整していただきたいと、そういう趣旨の要望なのですが。この点についてまずお願いします。

橋本:失礼します。文部科学省の大臣官房総務課法令審議室の橋本と申します。まず一点目の、文部科学行政全般に関してというかたちで、大臣の首席のほう、ながらく要望されているということはもう、こちらのほうも承知しております。本日は大臣のほうから公務により出席できないのですけれども、本日みなさま方からのこういう要望の会があるということは既に代議士のほうに伝えております。本日は課長補以下、担当者のほうで責任を持って対応していきたいと思っております。また本日、みなさまからいただいたご要望についてはですね、また大臣のほうに伝えていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。

――勝村:じゃあ時間もありませんので……

――ちょっと一つだけいいですか。

――勝村:お願いします。

――あのですね、私、〓で、文部科学省さんの職員の方――調べれば名前もはっきりわかるのですが、一度、「大臣と会わせます」と厳しいやりとりのなかでやっと言っていただいたのが2、3年前にあるのですね。ですから、その確認だけは――今日はダメだったとか、そういう事情はあるとは思うのですが、いつか……。あのやっぱり、直接会って話を聞いていただくとぜんぜん違うので、こういう問題は。これだけは何とか、前向きに取り組んでいただくということを一言お願いできませんか。

――橋本:そうですね、直接大臣に会って話をされるということについては、ちょっとこの場ですぐお答えはなかなか難しいとは思うのですけれども。また、そういう要望があったということは、大臣のほうにこちらのほうから伝えておきまして、またあらためてそういう話といいますかね、検討をさせていただけたらと思います。以上でございます。

――花井:かつて要望があって、かつてそれについてある程度前向きな姿勢をそちらが示しているのだということを、お伝え願えますでしょうか。よろしくお願い申し上げます。

――勝村:伝えていただいたら、ぜひその回答もぜひ。薬被連の事務局のほうにお願いしたいと。本当に、長時間を取らせようとはもちろん思っていませんので。ただ一応、なぜそういう思いで来たのかということをぜひ伝えたいということで。ぜひ前向きにお願いいたします。ここに書いてあるとおり、枝野議員との直接の交渉のなかでいったん約束していただいておりますので。まったく約束のない話とは違うので、かならず実現していただかないと、ちょっと、こういう交渉の意味が根底から崩れてくるというか、約束してもらった、という認識でおるので。お忙しいことはわかっておるのですけれども、できるだけお願いしたいというふうに思います。続きまして、公教育に関してということで、1番と2番がありますが、最初、代表の花井のほうから話がありましたけれども、この間、わりと高等教育に関しての部署の方にはいろいろがんばっていただいているかなと思っておるのですが、ちょっと公教育のほうが……6回目になって、全国からこうやって集まってきておるのですけど、なかなかいい回答を得られないままきておるなという感じでおりますので、ぜひ今回は何か、前向きな回答をいただけたらと思っております。では1番2番、続けて回答をお願いできればと思います。よろしくお願いします。

井上:失礼します。初等・中等教育局の教育課程課の井上と申します。どうぞよろしくお願いいたします。いただきましたご要望の一番についてでございますけれども、まず、本件につきましては児童生徒が、この薬害をはじめといたします現在の社会的事象に対する関心を高めまして、多面的多角的にいろいろものごとを考え、また事実を正確にとらえ、公平に判断する力を身につけることは大変に重要であると認識しているところでございます。また、学校教育におきましては、各学校におきまして、教育課程編成の大綱的な基準でございます学習指導要領に基づきまして、それぞれいろいろな工夫をいたしまして、地域でございますとか、各学校の実態や、各子どもたちの発達段階等を十分に考慮いたしまして、適切な教育課程を編成しているところでございます。そこで具体的な指導計画を作成しまして、各児童・生徒への指導を行うこととなっている状況でございます。この学習指導要領につきましては、各学校の創意工夫を活かしまして、特色ある教育や特色ある学校づくりをすすめる観点から、それぞれ過去何回か改定を行なってきたわけでございますけれども、そのたびに大綱化を図ってきております。そこで、この具体的な内容につきましては厳選を図っている、という状況にあります。この学習指導要領の内容を各学校が指導するにあたりましては、実際の授業におきまして、具体的にどのような教材を取り上げて指導を行うかということにつきましては、各自治体でございますとか、各児童生徒さんの発達具合をふまえて各学校が判断するということになっております。また学習指導要領の改定についてでございますけれども、これはそもそも学習指導要領といいますものは大変にこの、大綱的なものでございます。またこの改定にあたりましては社会の変化でございますとか、各学校で実施されております教育課程の実施の経験などをふまえまして、教育課程全体のバランスを考慮しつつ、検討が行なわれるものとなっております。このため、この学習指導要領の大幅な見直しにつきましては今後の課題であると考えているところでございまして、学習指導要領の各学校におきます実施状況の不断の検証でございますとか、新学習指導要領のもとで実施されました小・中学校の学力調査の結果などをふまえまして、検討すべき事項であると考えているところでございます。またこの、教科書でございますけれども、薬害につきましては、小学校でございますとか、高等学校の社会科や公民科、保健などの教科書に、基本的人権の尊重でございますとか消費者保護、社会における企業の役割とか社会的責任、健康な生活や疾病の予防などに関する学習のなかで関連する記述がみられるところでございます。続きまして、2番目でございますけれども、ご指摘の、児童生徒向けの副教材の資料の作成、配付につきましては、重要なご提言と考えさせていただいているところでございます。本件につきましては、まさに専門的な見識・知識を有しておられる厚生労働省さんなどから、そうした副教材の作成でございますとか、配布につきまして、ご協力のご依頼がございましたら、文部科学省としても協力させていただきたいと考えている次第でございます。以上でございます。

――間宮:副代表世話人をやっております、いしずえの間宮と申しますが、ほとんどお答えが何も進行していないかな、というところがあるのですけれども、学習指導要領については各学校の判断とかいうことに今度はなってきたわけですか? こちらとしては学習指導要領に薬害の歴史や薬害の再発防止についての記述をしてほしい、ということなのですけれど。

井上:すみません、ちょっと、ご説明に若干わかりにくい点があったかと思いますけれども、学習指導要領は国が定めるわけでございまして、具体的にはその学習指導要領に沿いまして、各学校におきましては各教育課程というものを編成いたしまして、その編成されました教育課程に基づいて教育が行なわれるという状況でございます。私が申し上げました趣旨はですね、そもそも学習指導要領というものが大変に大綱的なものでありまして、各個別の具体的な内容までを記述するといいますのは、それはむしろ学習指導要領の趣旨をふまえまして各学校が弾力的にですね、教育課程を編成いたしまして、そこで具体的な教育を実施するという制度になっておる、という趣旨でございまして。

――間宮:学習指導要領のなかに細かいことは書かないということですけれども、結構細かい内容もありますよね。なかにはね。そのなかに、大枠として薬害というのを入れてくれればいいだけの話で。その大枠にはならないわけですね? その大綱というところで。大きなカテゴリーにはならないというところでご認識されているということでしょうか。

――井上:いや、教育課程のですね、いわゆる内容を伴います改定につきましては、学習指導要領の改定につきましては、これはやはり具体的な社会の変化でございますとか、今、具体的に実施されています学習指導要領に基づいて、教育課程だとか学校によって編成されておりますが、そういった教育課程の実施状況をふまえましてですね、教育課程全体のバランスを考慮しつつ検討が行なわれるものでございますので。その旨、ご了解をいただければ、と存じております。

――間宮:社会の変化という意味では、最近の薬害としてヤコブ病の問題もありますし、C型肝炎の問題もありますから、社会の変化に沿う、という意味ではぜひ載せていただきたい、というふうに思います。それからですね、最後のところの、副教材の配布について、厚生労働省から要請がくれば検討するということなのでしょうか?

井上:そのとおりでございまして、まさに薬害に関しまして医療行政の専門的な知見を有しておられる厚生労働省さんからですね、ご依頼等ございましたら、それに真摯に対応させていただきたいと考えております。

――間宮:前回か前々回の時にですね、薬害ヤコブ訴訟の確認書のなかで、薬害教育をしていくというところで、確認書のなかに盛り込まれたわけですけれども、それについて厚生労働省と連携をしているか、という質問をしたと思うのですけれども、その後、その連携というのはどういう感じでしょう? 文部科学省さんからの働きかけとか、ま、逆の形もあると思うのですれども。文部科学省さんからも働きかけというのはできると思うのですけれども、そのへんはどうでしょうか。

井上:今、いただきましたご質問につきましては、まずはですね、やはりその、専門的な知見を有しておられる厚生労働省さんがですね、ますいろいろなお考えを当省に示していただければ、というふうに考えている次第でございまして。厚生労働省さんからですね、そういったご協力依頼とかをいただけましたら、当方といたしましては、まさにこの、児童・生徒への教育という観点からですね、いろいろと積極的にご協力をさせていただければと考えておりまして。まずは専門的な知見を有しておられます厚生労働省さんのほうでお考えになることではないかと認識してはさせていただいております。

――間宮:教育のスペシャリストがいう言葉とは思えない感じなのですけれども。まあ、そういうことであれば、厚生労働省にお願いして、こちらにお願いするようにということでお願いすればいいということですね。

井上:当方の……

――間宮:いや、それで、今まではどうですか。ここ2年ぐらいの間で連携というのは図られているのかいないのか。

井上:連携につきましてはですね、近時におきましてはハンセン病関係のリーフレットでございますけれども、厚生労働省さんが作成されましたけれども、その普及啓発につきましては文部科学省としてもいろいろとご協力させていただいておるところでございます。

――間宮:あれは何か、全中学生に配布したとかというふうに聞きましたけれども、そのとおりでよろしいのでしょうか。

井上:はい、確かそうだったと思いますけれども。

――間宮:では厚生労働省のほうからそういう要請があれば、そういう副教材の配布というのは可能である、ということでよろしいでしょうか。

井上:はい、おっしゃるとおりでございます。

――間宮:ありがとうございました。

――勝村:すいません、1番のほうの質問のほうなのですけれども、この趣旨は実状がどうなっているかということではなしに、実状で十分だと思っておられるのかどうか、という認識なのですね。私たちは今の実状、たとえば一定、教科書にも薬害の記述がみられることもあるということをおっしゃっていましたけれども、それが見られるか見られないかという実状ではなしに、その記述で本当に十分なのかという、その点をどうお考えになっているかということ。私たちは十分ではないと。今の小・中・高校でやられている医療消費者教育とか薬害防止教育とか、そういうものが不十分なために、薬害を全く知らない、現に医師や薬剤師とかですねが、でているわけですよね。まあ、高等教育の問題もあるかもしれませんけど。私たちもいつも言っていることなのですけれど、厚生労働省が20年以上とっている統計をみれば、火曜日に生まれる子どもは日曜日の1.5倍――日曜日は2400人が、火曜日は3600人も生まれているわけです。平日はね。平日と日曜日より1,000人以上の差がある。それほど、20年間、そんなことが行われている。そんなグラフを教科書にもちょっと載せてもらったらね。そんなの、おかしいですよね。日曜日が平日に比べて1,000人以上も、毎日毎日生まれてくる数が少ないなんて。だんだん、3分の1よりも半分に近いぐらいに、3分の1よりも半分になってきているわけです。それほど陣痛促進剤というのが知らない間にお産の時に使われているということを知っておれば、僕たちは陣痛促進剤の被害に遭わなかったと思っているわけですよ。なぜ小・中・高の公教育で、今のお産はそうなっているのだと、それでこれだけ事故がおこっているのだということは、誰だって新聞を読んだり、厚生労働省の人が統計をとっていることは知っているはず。ところが文部科学省がそのへんの認識がね。きっちりこういうことを伝えていって、このままでは被害は一定くり返されるわけですから。いろいろな薬害に関してもね。そのあたりのことをもっと伝えていってほしい、という趣旨で。みなさんがどれほど薬害を学んでこられたかというと、今までは僕らもそうですけれども、もっと学ばせておいてもらえたら、もっと食い止められたのではないかという思いが僕らにあるからね。だから、今後同じことをくり返し、同じ被害者を生みたくはないから、もう少し記述を充実させて、その記述の目的は、こんな薬害がありましたではなくて、その背景にはね、こういうことをくり返してはいけないのだと。こういうことを日本としても止めていかなければいけないのだ、という思いが教育のなかに入ってほしい、と僕たちは考えているのだけれども、その点で、今のままでいいと思っておられるのか。さらにそういう記述を確かに深めていかないと、同じように薬害をくり返しているところに、一定の文部科学省の責任、というとキツイかもしれませんが、あるのではないかと。そのへんの認識を明らかにしていただけませんか、というのが一番の趣旨なのですが。そのあたりどうでしょう?

稲葉:失礼いたします。うしろから失礼します。私、教科書課の稲葉と申します。教科書についてのお話がありましたので、その点、お答えをさせていただきたいと思います。教科書につきましては、先ほどご説明いたしました学習指導要領をふまえまして、民間の教科書会社が著作し、編集をするものでございます。したがいまして、学習指導要領をふまえて具体的に、何をどのように記述するかということは、これは教科書会社の判断にゆだねるという、そういう現行の制度でございます。現行の制度がそのようなものになっていますので、たとえば先ほどお話いただきました、そういうグラフを載せるとかということを、私どものほうから教科書の発行者のほうに求めるということは、制度上できないというかたちになっているということをご理解いただきたいと存じます。

――勝村:だから、載せるように言ってくれという要望ではなしに、そういうことが必要だというふうに、これは、いわば、僕たちが文部科学大臣に出している要望ですので。そういうことが必要ではないか、と。そう思いませんかということを、文部科学行政の責任ある方にですね、思っていて。どういう認識でおられるのかと。まず、その認識。確かにそういうのは必要だなと、そうかと。20年以上も日本は、平日が日曜の1,5倍から倍近く生まれていて、日曜日は子どもが生まれていない。日曜日に生まれそうになったら全部薬を生ませて、そこで被害が起こっているのだということは、新聞記者は知っていますけれど、新聞をたまたま読んだ人は知っていますけれど、教科書でなぜそれが伝えられないのかと。全員にかかわる出生なのに。たとえばですよ。そういうふうなことが薬害のことに関してはいろいろなところででてくるわけなので、そのへん、もっときちっとやっていく必要があるという、文部科学省の認識――どうお考えですかと。具体的にどうしていくかということにはまだ一番はいたっていないのですけれども、そのあたりで文部科学大臣に意識を問うている趣旨、とご理解いただきたいのです。

――矢倉:すいません。事務局の矢倉と申します。今ですね、教科書については学習指導要領にのっとってですね、民間の教科書会社のほうに依頼しておる、と。そういうような話があったとは思いますけれども、実は私どもも民間の教科書会社にはなんべんかお伺いしまして、そして「教科書の記述についてはどうなっているのですか」ということもちゃんとお伺いしております。それによりますと、やはり執筆者は執筆者でいるわけなのですけれども、やはり文部科学省の最終判断というのがありますわけで、それにパスしなければ、いくらいいものを書いてもパスしないということでですね、そういうお話もいくらか聞いております。ですから、今、文部科学省がおっしゃった内容はね、何か、すり替えが多いのではないかなと。本当に考えてやっていらっしゃるのかなあ、と。本当に、基本的なところで薬害をどうとらえているかという、そういうところが、論点が抜けているのではないかなあと。これは何回も指摘させていただいているのですけれども。以上です。

――花井:今、矢倉のほうから言ったとおりなのですけれども。教科書会社をまわったらですね、現に薬害のことを――薬害エイズのことを書いたら、それは注文がついて直させられているという実態もあるわけで。いろいろと出版社もありますと、こちらの顔色をうかがっていると実態からすればね、今の話は形式的にはわかっています。だけどそういう発言はね、もうひとつ、問題があるのではないかと思います。私どもは何をやっているかと申しますとね、薬害を起こしたくないと。加害者にも被害者にもしたくないと。ということなのですね。私、ざっと試算してみたのですけれども、製薬企業が日本の国内でそれだけの広告宣伝費を使っているか。一兆円を超えているのですね。研究開発費をはるかに上回る金額。こういったなかで、おそらく厚生労働省とか、政府公報的な「医薬品を安全にしましょう」とか「注意しましょう」とか、そういうポジティブ、いわゆる医薬品に対する警告をするお金というのは、二桁下で、数百億円レベルだと思うのです。それでも多く見積もって、その、下のほうですね。この桁違いな情報量を子どもたちは、テレビやいろいろなメディア、もしくはお医者さんもそういうお金をつかった研究論文を読んで、オピニオンをやっているという、この実態の、この環境にね、子どもたちを置きつづけていいのかということなのですね。その金額ベースで言えばね、これは公的予算が到底太刀打ちできない圧倒的な差があるわけですよ。となるとやはり、そのなかで文部科学省のしうる、できることというのは、学習指導要領とかですね、行政の指導力の効果的な部分で何らかの対応をしないと、もうこれは危機的なことになるというのは明らかなのですね。専門的には薬事法になると思いますけれど、薬事法にも実はスモンの力でですね、過剰広告禁止条項があるのです、44条か何かにね。でももう、これは有名無実化していまして、飲んだら楽になる、気持ちよくなるという――たとえばCMだけに関しても、そういうところに子どもたちを置かれているわけですね。これはもう、由々しき状態でありまして、こういった現状をですね、はたして教育の省である文部科学省が良しとするのかどうかということが、このいわゆる問いの一の趣旨であって、今すぐ何をしろと、具体的には学習指導要領に「薬害は大事」と書けばみんな一斉に書くのは明らかなのですけれども、著者がね。しかし、それは位置づけ――たとえば、どのようなスキームのなかにこれを位置づけて教育するかということは、もちろん専門家の意見を聞きながら、私どもの意見を聞いていただきたいのですが、決めるべきことですけれども。この現状について、文部科学省がどういう認識かと。そういうことを問いたいと、もう一回、回答をお願いしたい。それから、学習指導要領に書く時に、もう少し前向きな回答がないかなと。学習指導要領は全体的にみて「人権」とかいっているのですけれども、私たちは薬害の話をしているのであって。かつてはPL法とかいって、消費者保護がだんだん政府や法制度がされてきているのですけれど、やはり少ないわけですね。そうするとある程度、たとえば車であれば、リコールとかいう強力な指導があるわけですけれども、医薬品についてはですね、これはすごくゆるいのですね。ここについて、制度的なバランスを欠いているという状況にあるわけです。この認識がたぶんないと思うのですね。厚生労働省はある程度わかってはいるものの、教育にはノータッチというところだと思うので、そこの認識をふまえてね、一回、学習指導要領に何か盛り込めないのかという問題と、文部科学省として、この状況ですね、いわゆる市場社会に子どもたちが置かれているという現状において、どう思うかと。こういうことを答えてほしいと思うのですね。いかがでしょうか。

井上:今、いただきましたご質問でございますけれども、やはり、学習指導要領は現行の、たとえば中学校の学習指導要領の社会の公民的分野でございますか、ご覧いただきますと、書かれておりますが、たとえば、社会における企業の役割と社会的責任について考えさせる、といったことなども記述されているのが現状でございまして、現状におきましても、薬害については各学校でですね、教育を行なうということは可能にはなっているという状況ではございます。また今、いただきましたご要望でございますけれども、この学習指導要領に薬害ということを明記していただきたいということでございますけれども、やはり薬害とはそれぞれ、みなさま御自身に責任なくしてなってしまったことですので、大変にあってはならないことだというふうに認識しているところでございます。やはり、この学習指導要領の改定ということになりますと、そもそも学習指導要領は非常に大綱的にしなければならないというようなこともございまして、また改定する際に国民の幅広いご意見をお伺しながらですね、それぞれバランスを考えて改訂作業をすすめる、ということでございまして、この場で、学習指導要領に「薬害」という文言を――内容的にはもう含まれていると考えておりますけれども――「入れます」とですね、お答えすることは現時点では非常に難しいというのが実状でございまして。まさに、その……ですね。

――ちょっといいですか。前に聞いたことがあるので確認なのですが、学習指導要領は最終的に、誰に決める権限があるのでしたか。

井上:学習指導要領は文部科学大臣の告知でございますので。

――大臣なのですよね。だから大臣に会いたいと前から言っているのですけれども、前に論争した記憶があるのですけれども、公害というのは学習指導要領に載っていますか。

井上:公害は、はい。ございますけれども。

――だからその程度には、まずね。公害の下は、たとえば水俣病とかイタイイタイ病は載っていますか?言葉として。学習指導要領に。わからないですか。

井上:そうですね、学習指導要領にはそこまでは……。少々おまちください。

――わかる方います? 

井上:入っておりませんです。

――入っていない。そうすると、「公害」という大きな枠ぐらいの言葉として「薬害」という言葉を載せてほしい、というのが、第一歩の要求なのです。そのことを、公害はよくて薬害は――検討ぐらいは今日してほしいのですよ。検討もしてくれないような答えなのですが。公害は載っているのだから。公害というのもいろいろな企業が及ぼす社会への害悪のひとつですよね。公害だけがすべてではないですよね。どちらかというと最近、環境省の努力で少なくなってきている世界ですよね。それに比べて、多くの人の命を今も奪い続けている薬害をきちんと載せるということを、検討ぐらいしてほしいということに対してどうお答えいただけますか。

井上:検討とかですね、そこらへん直接は私……。今いただきましたご質問につきましてはですね、現行の学習指導要領におきましては、「薬害」というものを排除しているという趣旨ではないということはご了解いただければと存じます。

――〓なぜなのですか。

井上:ダメということもですね、私の限りで、あの。申し上げられないのです。制度の説明――全体のバランス、国民の幅広いご意見を聞きながら改定させていただくということですので。もちろん、薬害ということの趣旨は否定はしておりませんので。そのことにつきましてはご理解いただけますと大変に。ですから、今日の、いただきましたご要望につきましてはですね、私のほうからも担当にお伝えさせていただきたいと存じておりますので。

――間宮:さっき、企業の責任とか何とかと言っていましたけれども、公害はだいたい企業の責任というのはありますけれども、薬害はほとんど国が謝っているのですよ。企業の責任だけではない、国の責任というのがあるのですよ。そういう意味ではね、公害よりもさらに国が間違ったことをしたのだということをきちっと伝えるべきでしょう? 違いますか。

井上:今、いただきました質問につきましては、薬害をですね、学校で教えないということになっているわけではございませんでして。現行の学習指導要領におきましてもですね……

――間宮:公害はきちっと書いて教えなさいといっているわけでしょう。だから同じように薬害についても、薬害と書いて教えなさいと言いなさいよ、ということです。それを、それについて検討してくださいというのは、もう何年か前にも言っているわけですよ。それで検討したのですか?

井上:適宜、学習指導要領につきましてはですね、いろいろと進捗状況等を調べておりますので、総合的な観点からですね、検討はさせていただいているところでございまして。

――間宮:引き続き検討して、その検討結果を教えてくださいよ。どこで検討して、誰が検討して、どういう結果になったのか。やっぱり薬害はあんまり問題ないからやめましょうという話になったのか、やっぱり載せましょうという話になったのか。そのへんの検討過程というのを教えてくださいよ。

井上:学習指導要領の改定につきましては先ほどもご説明させていただきましたとおりでございまして、まさに全体のバランス等を鑑みながらですね、

――間宮:バランスはいい、バランスは。だから、どこで、誰が検討しているのかという話であって。バランスとか、国民の幅広いみなさんのご意見を聞くのはいいですよ、それは。それを最終的に決めるのでしょう? まとめて。

井上:そうでございますけれども。

――間宮:だから、それをまとめて、検討した結果を教えて欲しいということです。今後ね。今まではないわけでしょう? あるのですか。今まで検討したのかしていないのか。

井上 だから、検討と申し上げましたのはですね、まさに、学習指導要領をより良いものにするためにはどのような内容にすればいいか、という観点から検討するという趣旨で申しあげさせていただいたところでございまして、個別具体の事項についてですね、検討という趣旨ではございません。

――間宮:では、薬害についての記載については検討しないということですか。

井上:いや、しないということもですね、この場では申し上げられないところでございまして……。

――松山:ちょっと発言させてください。いいですか、すみません。何か今ちょっと話を聞いていて、残念だなと思うのは、これ、今、話をしているのは第一回交渉の時とまったく同じことを繰り返している──その答弁を繰り返しているだけなのですね。その時は、まあちょっと6年前の話なので、古い話を持ち出して恐縮ですけれども。その時に文部科学省の方のほうからね、薬害被害と薬物濫用のことを混同するような、そういう発言があったりしたわけですね。当時、やはりその、ほとんどの教科書で薬害被害ということが扱っていないと。この40年間、日本はね、大きな薬害をどんどん、たくさん繰り返し、多くの被害者を出してきたということについてね、そのたびに、交渉のたびに、一体それについてどう責任を考えているのかと、毎回厳しくここで交渉してきているわけですよね。そんななかで、2002年にヤコブとの和解の時に、そのなかでね、確認書のなかに、確かに国は教育のなかで、二度とこういう薬害被害が繰り返されないために、教育に──そこのなかでちゃんと教育のなかで、医薬品などの安全性についてとか、薬害について、きちんと伝えていきたいということを約束しているわけですね。そのことをまず、ちゃんと守っていただきたいということと、このように薬害が繰り返された原因のなかには、やはり、薬害を起こさないという、そういう考えが欠如していたのだと思うのですよね、国のなかで。だから、声があがるのを待っていたらといったら、また薬害が続くだけなのですね。私たちはけっして、過去の薬害について反省してほしいとか、謝罪してほしいという、そういう話をしているわけではなくて、今後繰り返さないために、その解決策としてちゃんと教科書に載せて、それについて教育してほしいという、そういう申し出なので、そこのところはぜひ理解していただいて、第一回目と同じ答弁は繰り返さないでいただきたいと思います。

――中西:京都スモン基金の中西と申します。スモンということをご存知の方は何人くらいいらっしゃるでしょうかね? もう、今から40年ほど前に起こった薬害ですのでね。これね、教科書に62年の教科書だったと思うのですけれども、スモン、サリドマイドがね、ちゃんと四大公害のあとに、ちゃんと教科書に表記されていたのですよね。そういう歴史は知っていますよね。教科書にきちんと書かれていたという事実もあるので、そのことも含めてよく考えていただきたいということと、あわせてね、もうひとつ最近の状況をね、実はスモンが発生した時には高度成長期で、大量生産・大量消費という流れのなかで──今の状況をちょっとみていただいたらわかると思うのですけれども、コンビニに行くと医薬品のコーナーができているのですよ。子どもたちはそういうところに接する機会がどんどん増えていっているのですよ。規制緩和──僕らは規制強化してほしいと思っている医薬品がね、規制緩和されて、そういう状況が今うまれている。そういうことをふまえてね、我々は言っているわけですよ。そしてもうひとつね、ちょっとここに紹介したいものがあるのです。これは国が委託しているスモン研究班が「スモンが風化しないために」ということで看護学生に調査した結果です。ちょっと聞いてください。看護学生100人に──ええと、ちょっと待ってくださいね。96名中、95名から回答を得たのです。回収率が99パーセントということで。年齢は看護学生ですので、19歳から34歳ぐらい。平均年齢19.9歳の人たちを対象にした──これはね、医療に携わろうと目指している学生です。よろしいですか。それで「スモンという病名を聞いたことがある」学生は95名中15名。その15名中、スモンの原因を知っていた学生は一人。こういう実態なのですよ、今。これは教科書のなかにきちんとスモンとかサリドマイドが位置づけられて、小学校の時に学んでいたらね、こんな結果は出ないですよ、絶対に。そうでしょう? ヤコブの確認書の調印のなかでね、こういう教訓──過去に起こった悲惨な薬害の教訓を我々は学びたい、学んでほしい、そういうことをいっているわけですよね。国もそのことを約束されて、厚生労働省──さっきから聞いていると、文科省は別の国の人か? と思うぐらいの回答しか出ていないのですよ。このことをふまえて、こういう実態が現実にあるのだと。薬害教育がいかに必要なのか。これ、もしよかったら資料をあとで渡しますよ。これはスモン研究班、国が委嘱した先生方からの資料なのです。ですから、そういうこともふまえてきちんと受け止めてほしいと思うのです。

――二番のところで、厚労省から教材などについて依頼があれば、要請があればというお話でしたけれども。やはり義務教育を所管する大もとですから、むしろ逆に厚生労働省に資料を提供せよというふうな姿勢がね、本来だと思います。それと、どうもその、薬害というのは文部科学省、特に直接かかわりがないような認識をお持ちなのかもしれませんけれども、過去、予防接種法で強制されていたワクチン、予防接種は、強制の場面というのは学校なのですよ。学校教育の場で強制されて、そこで事故が起こっているということですね。その事実が紛れもなくあったわけです。しかも、法律によって強制されることと、過去の話じゃないか、といわれるかもしれませんが、集団のなかで個人の判断が阻害されるような、人権が侵害されるような、そういう教育の場で予防接種法による強制が補完されて、公衆衛生に悪い意味での加担をしていた、そういう歴史的側面があるのではないか。そこらへんをふり返っていただいて、やはり文部科学省、自らの主体的な認識で取り組んでいただきたいなと。予防接種が学校であったというのは過去の話かもしれませんが、学校での集団接種が再現する傾向もなきにしもあらずです。あるいはフッソによる先行ですね。これは保育園とか幼稚園とか学校で、集団的に行っているでしょう。8020ですか。厚生労働省の関係で。あれについても非常にきわどい問題があるのではないか、という意味で、文部科学省の所管する教育現場のなかでの、広い意味かもしれませんが、薬害の発生というものは過去にもあったし、これからもありうる、というあたりを見直していただきたい。我々のサイドもまだそのへんの議論もできていないので、お互いに情報交換しながら。あるいは環境問題のなかの毒物のなかの医薬品、というふうな位置付けからもね、ぜんぜん別の点からも、文部科学省の取り組みの新たな切り口というのはあるのではないかと思いますので、ご検討ください。

井上:はい。

――勝村:ええとちょっと時間もないのですが、最初に言いましたように、公教育の問題が過去五年間、一番何も進んでいないということで、先ほど、松山のほうからも話がありましたけれども、やはり一回目と同じ回答が続いている。一回目は松山さんからも話がありましたように、文部科学省の薬害に関する回答は、薬物濫用の被害者が集まってきている、という誤解に基づくものでした。二回目でそれが陳謝されました。それほど、その人一人が勘違いしているのならいいのですが、その人がここの場に来て回答するまでにいたってしまうという。誰も、薬物濫用の被害者と、薬害の被害者を混同している。それほど、私たちも被害に遭わないとなかなか薬害のことはわからない、というぐらい、今の消費者教育が足りないのではないかという、そういう認識を持ってほしい、ということなのですね。一部の、国民全体の問題ではない、というのはとんでもない話で、薬を飲んだことのない国民とか、医療にかかったことがない国民なんていてないわけで。全員が出産するわけでね。自分たちの子どもの世代の出産がどこまで薬漬けになるのかと。無理な陣痛を──平日の昼間に無理やり陣痛をもっていって、脳性マヒの子がいっぱい生まれてきているわけですよね。そんなことの認識が伝えられてないというのは教育の責任なのではないかと。被害者からしたら。しかも過去に──今後また被害が出たら。その被害を受けた人たちが文部科学省に6回も来てね、「これ以上被害を増やしてはいけないから、教育で伝えてくれ」と、6回も言ってきているのに、あなたはそういう回答を続けてきたから、また被害が出ているではないかと。そういう責任をどこかで感じてほしいという趣旨なのですよね。だからこそ、大臣に一度そういうことを伝えたいという気持ちなので、公教育の一番はまさに大臣に答えていただきたいことなので、先ほどの一つ目と同じように、後日、この公教育の一番に関してもですね、橋本さん、すみませんけれど、大臣がどんな見解なのかということを、事務局のほうにちょっと一報をいただきたいと思うのですが。
時間もないのですけれども、大臣に代わって来ていただいているかと思うのですけれども、石野課長さんですね、公教育の問題であるのですが、このあたりで何か。文科省として何かしていただくことは無理ですかね。今の問題では。ちょっと厳しいですか? じゃあまた、あれなのですけれども、もしこれがね、やっぱり今、井上さんとお話しているなかではですね、なかなか、ずっと同じことになっているのですよ。同じ回答をいただいているので。何か別途、別の機会に僕たちも大勢では今度は来られないかもしれませんけれど、別途この問題で文科省と協議していく場を作っていただくことはできないですかね。この問題で、もう少し。そんなにしつこくはやらないにしても。あらためて。……そういうことも。まあなんらかの。このままでは本当に何か──ずっと6年間あれなので。で、二番目のほうなのですけれども、厚生労働省が協力してやるということは、厚生労働省がほとんど中身をつくるのだったら配布しますよ、という趣旨ではなしに、厚生労働省から一本電話が入れば文科省として動きますよという理解でいいわけなのですか?

井上:この二番につきましてはですね、やはり、厚生労働省からのいろいろなご依頼の趣旨によるのだと思いますけれども。はい。

――勝村:これは、このあと厚生労働省に行きますけれども、文部科学省がそう言っていましたよということで、厚労省から文科省に言う場合は、文科省は誰に言えばいいのですか? 文科省の。

井上:それはですね、それぞれのご依頼の内容によって、変わると存じます。

――勝村:内容はこれなのですけれども。井上さんのほうに言えばいいのですか。厚労省にこれから僕らが言いに行く時に、そういう依頼を文科省の誰々にしてくれと言ったほうが具体的だと思うのですが。

井上:私自身もこれ全体については受けうる立場ではございませんので。そこはやはりですね、通常の省庁間レースでの窓口と申しましょうか。

――勝村:いや、先ほど間宮からもありましたけれども、そのあと次の質問のところに書いてありますけれどもね、CJDが国と和解したなかにですね、教育のなかでやっていくということを国が約束したのですけれども、前々回の交渉で明らかになったのは文部科学省にはそんな話はひとつも入っていなかったと。そんな約束を国がしているなんて一切知らなかったということで、厚労省と文科省の情報交換がまだ不十分だというふうに認識しているので。そのへんで誰に誰と、本当に、従来から本当に窓口が本当にきちんとあるのかという不安があるのですけれど。

井上:それぞれ、厚生労働省さんのほうはいろいろな分野において連携協力を図らせていただいている状況でございまして、その案件ごとに応じましてですね、担当が変わりますので……。

――勝村……まああの、初等・中等教育課に言え、と。

井上:そうですね、官房の総務課のほうとそれは相談させていただこうと存じます。

――勝村:僕らはこのあとさっそく言いに行くことになると思いますので。ぜひ、この二番のほうはわりといい回答をいただけたかと思いたいと思いますので、ぜひよろしくお願いします。では次、高等教育に関してお願いします。

西野:失礼します。高等教育局の医学教育課長の西野と申しますが。それでは高等教育の1から4について、一連してお答え申し上げたいと思います。高等教育の一番の和解確認書の趣旨に沿って、薬害教育のカリキュラムに薬害再発防止のために、具体的に過去の薬害を学ぶ、と明記してください、という点でございますけれども、これは、二つ、薬害教育のカリキュラムがございますけれども、ひとつは平成14年8月に日本薬学界が取りまとめた薬害教育モデルコアカリキュラムというのがございますけれども、そのなかで薬学生の到達目標として、代表的な薬害の例でサイリドマイド、スモン、非加熱血液製剤、スルブチンなどについてその原因と社会的背景を説明し、これらを回避するための手段を登記すること、というのが到達目標として設定されております。それからもう一点は、今回、今年の春の通常国会で薬剤師の養成過程を変更する法律が通りまして、従来、四年制で薬剤師養成しておりましたけれども、これは医療薬学の充実ということで、平成18年度から薬剤師の養成課程が六年制に変わりますけれども、それの検討をしておりました薬学教育の改善・充実に関する調査・研究者会議のなかで、実務実習、モデルコアカリキュラム──その六年制の薬剤師の養成過程になった時に、約6か月の実務実習のなかでのカリキュラムの到達目標として、誤りを生じやすい投薬例や調剤例を列挙できること、代表的な医薬品の副作用の初期症状と検査所見を具体的に説明できること、ということが到達目標として設定されております。具体的な詳細の授業内容につきましては各大学が自主的に決定するものでございますけれども、この二つのコアカリキュラムにつきましては、薬学生が卒業までに身につけるべき最低限の到達目標を示したと、いう認識でおりまして、私のほうとしても公立大学薬部長会議、あるいは日本私立薬科大学協会通常総会等において、各大学においてこういうコアカリキュラムに沿った薬学教育をきちんとしてくださいと働きかけをしておりまして、引き続き働きかけを行なっていきたいというふうに考えております。これが一点目でございます。それから二点目の、薬学問題に関する各大学の取り組み状況でございますけれども、これはお手元に資料1として配布させていただきましたけれども、この2のなかで、一つは薬害問題について医学的観点だけではなく、医療倫理、あるいは社会医学および人権学習的な観点からの授業展開をしているかどうか。あるいは二点目といたしまして、薬害被害者の当事者の方から、直接授業、あるいは特別講義等で、聞いているかどうか、という点を各校、私立大学の医学部・歯学部・看護関係・薬学部に照会してとりまとめた状況でございます。まずその、薬害問題に関する各大学の取組状況でございますけれども、平成16年度におきましては、医学部で79大学中、63大学、歯学部で29大学中、20大学。看護系学部で119大学中、68大学。薬学部系で56大学中、51大学で、薬害問題についての授業展開を医療倫理、あるいは社会学、人権学習的な観点から展開をしたという結果でございます。それから薬害被害者の意見・体験を直接聞く機会ということを、この医療人養成関係の学部・学科で学生が聞く、ということは大変大事な機会だと私どもも考えておりまして、このお手元の資料には実施状況をまとめておりますけれども、2のほうに載っているものが、医学部で13大学、歯学部で1大学、看護系で8大学、薬学系で4大学というふうに載っております。お手元の資料の2ページ以降はこの1枚目の総評のなかの個別具体例で、各大学でどういう科目あるいは講義等で扱っているか、ということを、医医・歯医・薬・看護でまとめさせていただいたものでございますけれども、このお手元の資料の最後から5枚目のところでございますけれども、みなさまがたからいただいたお話につきまして、昨年の9月──これは私の前任の課長名でございますけれども、医・薬あるいは病院に対しまして、「薬害の防止に関する教育研修の充実について」というお知らせの文書の流しておりまして、またそのなかで全国薬害被害者団体連絡協議会から授業あるいは職員研修等の際に講師としてご協力いただけるという話があったということをご紹介しております。それから、その次のページに「ご案内」とありますけれども、これは文書で配布する以外にいろいろな諸会議の機会に、全国薬害被害者団体連絡協議会から、授業あるいは職員研修等で講師としてご協力いただけるというお話があったということを、この紙を配布させていただいてご案内申し上げている、という状況でございます。それからその下に、これは昨日、協議会のみなさま方からも、九州大学等の授業の学生の感想ということをちょうだいいたしましたけれども、私どものほうがまた大学から聞いております学生の感想ということを、一枚で簡単に整理させていただいたものを配らせていただいております。こういうかたちで、私どものほうでは引き続き薬害防止に関する教育、あるいはその患者の立場に立って医療にあたることの重要性に鑑みまして、引き続きこのような調査は実施していきたいというふうに考えております。これが二点目でございます。それから、三点目でございますけれども、薬学教育の改善・充実中間まとめに対する意見の提出、それから看護教育のあり方に関する検討会での意見陳述ということをいただきました。これは、薬学教育の改善・充実につきましては先ほど申しました……(2本目)……5枚目のところでございますけども、みなさま方からいただいたお話につきまして、昨年の9月、これ私の前任の課長名でございますけれども、医医薬あるいは病院に対しまして、薬害の防止に関する教育研修の充実についてというお知らせの文書を流しておりまして、またそのなかで全国薬害被害者団体連絡協議会から、授業あるいは職員研修の際に講師としてご協力いただけるという話があったということを紹介しております。それからその次のページに、ご案内ということがございますけども、これはあの、文書で配布する以外に、いろいろな諸会議の機会に全国薬害被害者団体連絡協議会から授業、あるいは職員研修等で講師としてご協力いただけるお話があったということを、この紙を配布させていただいてご案内申しあげているという状況であります。それからその下に、これは昨日、協議会のみなさま方からも九州大学等の授業の学生の感想ということをちょうだいいたしましたけども、私どものほうが大学側に聞いております学生の感想ということを1枚で簡単に整理されたものを配らせていただいております。こういうかたちで私どものほうとしましては引き続き薬害防止に関する教育、あるいはその患者の立場にたって医療にあたることの重要性に鑑みまして、引き続きこのような調査が実施していきたいというふうに考えております。これは二点目でございます。それから三点目でございますけども、薬学教育の改善充実中間まとめに対する意見の提出、それから官公教育のあり方に対する検討会での意見陳述ということをいただきました。これはあの、薬学教育の改善・充実につきましては先ほど申しました、薬剤師養成過程を四年から六年に改正するという取り組みのなかで、私どもの協議者会議のほうで中間まとめを出しましたものにつきまして、協議会からその薬学教育につきまして医学的な観点だけではなく、医療倫理、あるいは社会医学的観点から全ての大学においてカリキュラムの中心には加える教育を実施しなければいけないというご意見をいただいておりますけども、これにつきましては最終報告の中で医療事故や、薬害を防ぐ危機管理能力なども身につけることの出来る教育を行うことが必要、と。あるいは、その協議者会のなかにおきました中央教育審議議会の答申におきまして、医薬品の安全使用や薬害の防止といった社会的要請に応えるため、薬剤師の養成のための薬学教育は〓教育や医療薬学を中心とした専門教育及びジズム実施の充実をはかるとともに、これらを有機的を組み合わせた教育課程を編成して効果的な教育を実施するようにする必要があるというかたちでいただいたご意見を、最終報告なり中央教育審議会の答申に反映するように努めたところでございます。それから、もう一つ、看護教育の関係でございますけども、今の看護教育が四年制大学で実施される場合が増えておりますので、その四年制大学の看護教育のカリキュラムの充実をはかるという観点からの検討会でございますが、これにつきましては平成16年3月26日にこの検討会での結果を、各大学の教育の責任者に説明する会に代表世話人の花井様に来ていただいてご講演をいただき、各大学の看護教育の責任者に学習の場ということを設定したというところでございまして、こういうことをふまえて、各大学のほうで教育の充実に努めていただくよう、引き続きお願いして参りたいと、そのように考えております。それから四点目でございますけども、文部科学省の審議会、検討会あるいは審議会の議論に委員として参加できるようにという要望でございますけども、私どものほうではいろいろなかたちで教育者会議等、設けておりますけども、この委員につきましては、いろいろな医療系の大学関係者あるいは職能団体の代表ジャーナリスト、学識経験者等、幅広い分野と観点から選任しておりまして、その特定の団体について枠を設けて選任してという仕方をしておりませんので、その点につきましてはご理解賜りたいと思います。ただ先ほどの薬学教育の改善で意見答申していただきましたとか、いろいろなかたちで今意見をちょうだいするという機会はパブリック面等ございますので、そういう点で積極的にご意見をちょうだいして、私どものほうでも学習させていただければというふうに考えております。以上、高等教育について四点につきまして、一応回答させていただきました。

――勝村:ありがとうございました。まずこの資料のほうなのですけども、これ昨年いただいている分と比較しまして、昨年は初めてこの小松課長さんにやっていただいて、新聞等でもそういう事業が増えてきているという報道があったのですが、そのなかで文部科学省としては数校始めたぐらいなので、まだまだ不十分だと、もっと広げていかなければならないというコメントを文部科学省の誰かがされて、それが新聞に紹介されているわけなので、去年の結果ではどうやらまだまだ不十分という認識だと思うのですけども、そのあたり、たとえばこれ、国立の1枚目の医学部なんかが15年度16年度、でほとんど数値は変わっていないというようなこともあるかと思うのですけども、この結果、去年から今年にかけての結果の評価はどんな感じでしょうか?

西村:最終的には個別の授業内容を、私どものほうでも絶対これでいけないということはできませんけども、私どものほうとしましてはやはり、医療人養成の段階で、今、私どものほうでは患者中心の医療人養成ということを強く訴えておりますけども、この薬害被害者の方の声を聞く、あるいはその薬害問題についてきちんと医学生、看護生学生、薬学生がですね、認識したうえで、良き医療人として育っていくことが大変大事だと思っておりまして、いろいろな機会で各大学のほうに理解を求めていくという形で引き続きしたいと思っております。

――勝村:具体的には最後から5枚目の小松課長の名前で出ている文がありますよね。これはどんなものを、今年も9月ですかね、に出していただくことができるのか、ということをお願いしたいのですがそのへんはどうでしょうか? 

西村:一応各大学のほうの調査をしたら、だいたいそれは各大学にフィードバックするというのが、私どもの課でしておりますので、そういう観点で今の各大学の状況、あるいはこのお知らせに書いてありますように、今後とも協議会の方から公私共にご協力いただけるというふうに私ども考えておりますので、そういう面での各大学へのご案内ということは、今後共していきたいというふうに思っておりますので。

――勝村:先ほど書いてありましたように、この調査は当面続けていただけるということなのですよね? その調査を続けていくことが、一応そういうことをしていくということになるだろう、と。これは私立も今回はやっていただいている。それで、どの文書も同じレベルで調査をしていただいている。去年より進んでいること。これも引き続いていただけるということで?

西村:そういう方向ですすめさせていただきたいと思っております。

――勝村:あと、去年もちょっとかなりこのあたり議論になったのですが、四番のところなのですけども、こういう要望の出し方をすると特定の団体を入れろ、という趣旨に取られるかもしれないですけど、そういう趣旨を越えて、一度、今までやってきた面々で審議会をするのではなしに、国民の声を代表するようなかたちの人も入っておるにしても、やはり誰よりも医学・薬学・医療をこうなってほしいとそういう思いを被害者が一番強く持っていると思うので、文科省だけではなくて、いろいろなところで被害者から学ぶというか、当事者の声を中心に聞いていくことが大事だと思うのですよね。国の改革というのは。そういう意味で、一定そういう被害者でありながらですね、そのいろいろ、身体的な苦労もしながら、でもこれから同じことを繰り返したくないという思いでやっている人たちの声もそのなかに入れていくというような発想を、そういう発想を持っていただくことができないかという趣旨で、特定の団体から、結果としてこれは特定の団体というにはあまりに大きな団体なので、こういうところから私たちのなかから、というかたちになっておりますけども、そういう被害を繰り返したくないという思いが、多分一番強いから、そういう意味では誰よりも真剣に考えているのではないか、というふうな思いでいるためにですね、こっちにいろいろ言いに、お願いに来ているところなので、そういう声も、そういうところに反映させていくと。その人たちだけで決めろと言っているわけではなくて、そういう人も委員の一人として入れていくような発想というのが大事なのではないかというような趣旨なのですが、そういう趣旨だとして、……特定の団体を入れろということではないという趣旨で、被害者なんかの委員もあってもいいのではないかという趣旨だとして、もう一度ご回答いただけませんか。

 ちょっと先ほどの繰り返しになって恐縮ですけども、一応あの検討会、10名から10数名くらいでいろいろな事項についてだいたい幅広くご協力いただけるかたを委員に選任しないと、なかなか検討会の委員の選定は難しい問題が実際上あるのです。ただ、今回の薬学教育の会議で、意見書を提出していただいてですね、それが中間まとめから最終報告により良い形で変えるきっかけになったということもありますし、いろいろな機会でご意見をちょうだいするということは努めていきたいというふうに思っておりますけども。

――ではカクダイラさんどうぞ。

――角平:東京薬科大学その他6か所の医学部薬学部で薬害の教育をしております角平と申します。先ほど、モデルコアカリキュラムの話をされましたけども、先ほどおっしゃったことの内容ですが、医薬品をつくる、というところに入っているということをご存知ですよね? 医薬品の開発と生産というなかに入っているわけですが、この内容は薬学と社会のほうに入れるべきではないかと思うのですけども、いかがでしょうか? あの、先ほどおっしゃったことというのは、割と代表的な薬害の例について、その原因と社会的背景を説明し、これらを回避するための手段を討議するという到達目標ですよね。これが、私からみていて非常に不思議なことに、「医薬品をつくる」のところに入れられているわけですね。これについては、どうお考えでしょうか?

 あの、このモデルコアカリキュラムでも、薬学会の専門家の先生方で作成いただいたものですけども、この先ほどもみました薬害についても今ご指摘いただきましたように、医薬開発と生産の流れというところであるのは事実でございますが、もう一つ、薬学教育のイントロダクション「薬学への招待」というところのなかで「現代社会と薬学の接点」というところで薬害について具体例をあげその背景を解説できる、というところを到達目標としてのっております。ですからそういうモデルコアカリキュラムのなかのいくつかところで薬害について薬学会の検討結果として盛り込まれているというふうに私どももとらえておりまして、それとあと「薬学と社会」というところで、医薬品による副作用が生じた場合の被害救済について、その制度と内容概説ということで、薬害なりのことにつきまして、今回のカリキュラムについては三点載っておりまして、現代のところその薬学会のほうで、先生方のほうでつくられたものに沿って、きちんとした教育がなされるということが私どものほうとしましても望ましいと思っておりますけども、こういうモデルコアカリキュラムが何年かたって薬学会のほうでもし改定されるということがあった場合、それはその時点で専門家の先生方とのご議論によってどういう位置付けがいいかどうかということが検討されるものだというふうに思っておりますが。

――角平:もし、このモデル化カリキュラムの線でやっていくとなると、薬学と社会のところでは薬害の教育はされないことになるのですよね? ……ということなので、その点をちょっと問題として考えていただきたいということが一つです。それから、被害者を講師として呼ぶ場合に、履歴書とかそういうのは必要としますか? 大学では通常非常勤講師を呼ぶ場合、履歴書を提出してもらって、審査をすることになっているのですよね。被害者を呼ぶ場合、それがどういう、そういうかたちですと、おそらくその基準に合わないという話になってしまうと思うのですよね。この点についてはどうお考えでしょうか?

 あの経歴書をどの程度要求されているかどうかということは個別の大学の状況で、ちょっと私は申し訳ありませんが、把握しておりません。ただその私どものほうとしてお願いをして、また大学のほうで呼んでらっしゃる大学もありますから、そういう方向で私どものほうとしましては、どんどん被害者本人の直接の声を聞いて欲しいというお願いは続けていくということはしたいと思いますし、またそのなかで個別の大学のほうでもし問題があれば、またお聞かせ願えればと思っておりますが。

――角平:はい、わかりました。ありがとうございました。

――勝村:では、これもと思うのですが、去年続いているのですが、先ほどの四番。一人が入ったからといってどうなるのかという気も確かにするのですが、逆にいうとそれが本当のバランスではないかと思いまして、今はその専門家の先生の方、企業の方、それから国民を代表する、という一般の方とか、ジャーナリストの方が入られると思うのですけども、その中でも一名、その当事者というかですね、人もそれが関係する会議であるならば、やっぱり一番良い意見を言うに違いないわけで、一人でどうなるかということなのですけども、一人が入ることでバランスが健全になるのではないかというふうに思う面がある、と。また、それが無理でもヒアリングで意見を言えばいいということなのでしょうけども、ぜひそれを検討していただきたいのと、あと、私たちがこういう問題は一緒に議論したいな、ということにかんしては、少なくとも委員にはなれなくともお願いをすれば、ヒアリング等でもお話をさせていただくことはできるだけしていただける、ということはご発言だという理解でよろしいでしょうか?

 個別の会議の趣旨と、内容、それからそれをどうすすめるかということをみながらですね、どういうかたちでご意見を反映していけるか、ということは考えていきたいと思います。

――勝村:では次、生涯学習に関して、お願いします。

宮田:生涯学習政策局社会教育課の宮田と申します。よろしくお願いします。生涯学習に関してでございますけども、全国の自治体で実施されております、消費者教育、人権学習などにおいて薬害問題を含める医療問題や、医療消費者教育がどれくらい取り上げられているか、について調査をしてくださいという一点目のご依頼でございますけども、国が助成しております事業につきましてはその事業内容についてこと細かく把握しておりますので、それについては件数というのは把握できております。例えば、その平成15年度でいえば、約500件以上の助成をしておるのですが、そのなかで健康問題といったようなことをテーマにしているのは、約100講座あると。約20%が取り上げているというような状況でございますが、これが全国各自治体で自主的に行われている講座・学級になりますと、約50万、年間で行われてございます。それの中を個別、具体的な内容について調査するというのは、ちょっと今の現状では難しいかな、というのが一点でございます。生涯学習、社会教育と申しますのは、地域の実態でありますとか、ニーズでありますとか、実状に応じて実施されるものだというふうに理解しておりますし、こういう薬害問題を含めた人権教育といったものは非常に重要だ、ということは、我々認識しております。人権教育に関していえば、例えば埼玉県の例でございますけども、人権教育にかんするハンドブックというものを作成しております。これは国のほうで委託をして、製作・作成をして、これ埼玉県ですが、各県の市町村にお配りして、人権教育を実施する際の参考にしてくださいというような、ハンドブックでございます。この中に、さまざまな人権問題ありますけどもその中の一つとして、薬害エイズの問題について取り上げております。で、被害者の方の声等も入れてですね、こういったことをぜひ取り上げて、市町村でも人権教育の一環として、こういった薬害問題について取り上げていただきたいというようなことをやっております。こういったことについてはですね、今後、人権の担当者会議あるいは社会教育の担当者の会議等ございますので、こういった場でも、広く周知して、実施例なども紹介しながら、取り組みについて促進していきたいと考えております。以上でございます。

――勝村:ありがとうございます。50万件は確かに無理だと思うので、500件というか、そのうちのなかの100講座くらいですかね、が、おおむね箇条書き程度でどんなタイトルで、簡単にどんな内容で、というようなことで、今現在国が助成しているものの500のうちの、100くらいが健康問題で、それがだいたいどんな内容なのかというのを少しいただく、教えていただくことは可能でしょうか?

宮田:今、ちょっと手元にありませんけど、それは後ほど準備させていただくということで。

――勝村:それと、その、埼玉県のものを一冊いただくことも可能でしょうか? 無理は言いませんけども、はい。それと、そういう場で、人権教育担当者の場でお話される時に、もし何らかのかたちで文書も配布されるのであれば、どういうかたちで配布しているかとかもいただければと思うのですが。よろしいでしょうか? はい。

――消費者教育のところで今、薬をめぐる問題というのはどんどん大きくなっていっているところでですね、個人輸入というかたちで、未承認の薬というものがどんどん入ってきて、普通に使われているような状況というのが、ずいぶんあるようなのですね。それに加えて、健康補助食品というようなかたちでビタミン類ですとかそういったものといったものもまた、あわせて使用しているということは多いと思うのですけども、そういったことについての、その危険性というのはやはりあるので、そのあたりというのも、消費者教育のなかに取り上げていっていただきたい、というふうに思いますが、そのあたりどうでしょう?

宮田:あの、この消費者教育につきましても、平成16年ですか、消費者基本法というのができまして、消費者トラブルやなんかが非常に増えているというようなこともありますので、そういう消費者に対します情報提供であるとか、消費者教育の充実をはかるということが法律で定められておりますので、そういったことも含めてですね、ぜひその各地方公共団体には、取り組みを推進していただきたいということは申しあげたいというふうに思います。

――ちょっとお伺いしたいのですけども、最近テレビなんかのコマーシャルで、セルフメディケーション、というようなことばがよく聞かれるようになってきていますけども、そのあたり、なんらかの認識はありますでしょうか? ……ないですか? セルフメディケーションと称して、薬を消費者が自分で選んで自分で責任とれ、というようなふうに、わたしたちはとらえているのですけども、そういった業界団体からの啓蒙活動みたいなものが、ひたひたとこう行われているわけで、そういった点というのもやっぱり今後気をつけていっていただきたいというふうに感じております。

――そういうことは厚労省あたりから依頼というのはないのですか? 教育現場で広げてくれ、みたいな。

宮田:ええと、社会教育の場では今のところ行われておりません。

――勝村:セルフメディケーションは、かなり知名度が高くなってきましたけども。では、最後になりましたけど、国立大学付属病院に関しましてお願いします。

 国立大学付属病院関係の三点でございますけども、まず一点目の職員研修等についてでございますけれども、基本的には職員研修自体の内容をどうするかということは、各国立大学付属病院のほうで自主的に決定されるべきものではありますけども、私どものほうとしましては、今回のご要望の内容が大変大事だということから、昨年ご要望をここでいただきました、趣旨につきまして、15年10月27日の全国国立大学病院の事務部長会議、それから本年の6月17日開催の国立大学付属病院長会議でお知らせしたところでございまして、今後ともその大学病院関係者にはご要望の趣旨を伝えて参りたいというふうに考えております。それが一点目でございます。それから二点目の、カルテの関係でございますけども、お手元の資料に配布させていただきました、最後から2枚が関係するものでございますけども、平成15年4月から平成16年7月までの国立大学病院の病院別の開示請求件数、あるいは開示・不開示状況等について整理させていただいたものでございまして、不開示件数が9件ございまして、その不開示件数の理由につきましては、その次のページ、最後のペーパーでございますけれども、開示による診療行為を著しく困難にする恐れがあるというような理由で、これは各大学病院のほうでの開示審査委員会等での決定の状況でございますけども、そういう状況になっております。それから昨年度の非開示事例13件につきまして、どうかという点でございますけども、現在私どものほうとして特に問題になっている、というふうな状況は聞いておりません。一応そういう状況でございます。それから最後の、投薬された薬剤なり、単価の明細をどういうかたちで情報提供するかというかたちでございますけども、8月現在の国立大学付属病院の取り組み状況を私どものほうで調査いたしました結果として、薬の袋の中に入れる薬についての説明書というのがありますけども、そこに棟に、薬品名、及び単価を記載している大学が2大学、それから薬品名を記載している大学が36大学、さらにこの他にも患者様のご希望に応じて薬剤の情報提供を行っているという大学もございます。それからあの、昨年この会でご要望いただきました趣旨につきましては、先ほどの研修会等々と同様でございますけども、事務長会議あるいは病院長会議でお知らせしているところでございまして、引き続き大学関係者にも伝えていきたいというふうに考えております。以上でございます。

――勝村:はい、ありがとうございます。一番の病院長会議、事務長会議年に一回ずつで言っていただいているというのは、文章ではなく、口頭で、ということになるのでしょうか?

 口頭でございますけれども……口頭ですね。それからあの、案内という、先ほどご案内というかたちで1枚、先ほど教育のところでしておりますけども、薬害の防止に関する教育・研究の充実についてのお知らせ、これは文書で9月15日に医学部長、薬学部長以外に医学部の病院長にも出しておりますので、文書でも出しておるというところでございます。

――勝村:この「ご案内」を病院長に出していただいているという感じで?

 このご案内の前にですね、お知らせという文書を9月19日付けの文書がついておりますけども、それは宛先のところで、医学部付属病院長と書いてございますように、一応病院長にもこのお知らせというものは文書で出させていただいております。

――勝村:ぜひ、口頭で言っていただく時に、僕たちいくつか言っているのですけども、聞かれた感想はですね、非常に最初聞くまでは恐かったと。何とののしられるかと思ったという不安でいっぱいだったけども、本当に聞いてよかったというふうに言っていただいているというのも嘘ではありませんので、非常に冷静に話をするのだと。本当にこういうのが大事だというふうに言ってもらっているからこそ、それならば本当にそういう一言言うだけで、随分、医療が、引き締めをもたらすことができるのなら、という思いでやっておりますので、そんなことも口頭で一つ言って既に実績があるというかたちで、要らぬ不安は持たなくてよいということでお伝えいただければありがたいかなというふうに思います。二点目ですね、カルテの開示なのですけども、もうすぐ個人情報保護法が、国立やったらあれですけども、そのなかで不開示……開示請求している人が、一番最後に不開示理由を書いていますけども、開示請求している人は、何らかの目的を持って開示請求をしているわけですよね。セカンドオピニオンを受けたいとか、自分のことを知りたいとか、いろいろ思っていて。それが、こういうふうな理由だけのみで不開示になると、通常納得できないと考えるのが自然だと思うわけですよね。そういう時に、普通不服審査の申し立てとかが出来る手続きがあったりするのですけども、そういうことの紹介とか、そういう不服審査申し立てをするような機関を設けているのかどうかとか、または、それで本当に開示請求している人は何人か信頼、充分情報は充分にいただけていないと。内容について充分に伝えていただいていない、という不安な思いがあるからやっているので、その後この理由だけでこの人をほったらかしにしているのか、また別途、きちんとその人をケアしているのかという趣旨なのですけども、そのあたり数は限られているので、不開示決定の通知をこういう理由で渡した時に、その人との信頼関係を得る努力をさらにしたのかどうかとかというようなことを調べていただくことはできないでしょうか?

 不開示の事例について、各大学病院でどうか、という点について、個別のケースについていろいろとその非開示になった場合にその患者様等に納得いただけるように、充分に説明するようにと、各大学病院が取り組んでいるところだというふうに承知してますけど、さらにそれ以上という点につきましては非開示請求が、極めてデリケートな問題を含んでいる場合等が含んでいるという事柄のものですから、それ以上そのどうするかという点は、個別のケースごとに各大学病院での開示審査委員会での判断ということを尊重していきたいというふうに考えておりますけども。

――勝村:三点目なのですけども、これは二回目だったかな、二回目の交渉で、諸角さんだったかな、課長補佐の、違ってたらあれなのですけども、その人がこれから5年計画で、国立大学付属病院全部、電子カルテに5年でやっていくのだと。それに合わせて全て薬剤にかんしては単価を載せていくようにする、というふうな回答があったのですが、その時、非常にいくつかのマスコミの人も反応して、それは画期的なことだということで随分、モロズミさんのところに取材が集中したのですけども、5年計画だし、というかたちで、わりとそのあと、口ごもっておられたとマスコミからは聞いておるのですけども、それから5年たっているのに、その後「あれはどうなった?」と言うと「ちょっとあれはまだ、まだ」……と良いながら、一つ、二つとなって、これで3年連続、二つ、二つ、二つ、なのですよね。実施というのは二つだ、ということなので、5年で全部のところに、僕たちは薬の単価の設定が非常におかしいと、そういうことなんかも消費者教育としてお金の問題、薬害医療被害の背景に、お金の問題抜きにして、語ることはできないと思っていますし、消費者、医療消費者という立場からして、お金の問題を全く無視してやっていって、なぜそんなに薬づけになるのかとか、ということまで、やっぱり考えていかなきゃいけないわけで、消費者として。じゃあ単価はどうなっているのだ、ということは非常に大事だという認識でおりますので、これはちょっと約束というか、当初の計画とは変わってきてしまっているという認識なのです。どういう経緯で、ここがすすまないのか、二つだけやっているのは、きっと言われてやっているのではないかと思うのですけど。それでやっていないところ、バランスはどうなっているのかという認識なのですが。一応そのあたり……諸角さんはおられないかもしれませんが。

 すみません。私、その答弁自体を承知しておりませんで、失礼いたしますけども、電子カルテ自体、私の認識では大学病院全部でですね、電子カルテを達成しているという状態ではないですね。ですからそれは個別の大学でかなり踏襲しながら、電子カルテにしていくという点もありますし。また、電子カルテ自体が病院の医療上どういうかたちで整備できるかという、確かにまだ、全ての問題点をクリアできているのかどうかというのが、ちょっと私もまだ承知していない部分がまだあります。それで具体的に、今回、要望いただいて、再度そのなかで、みてみた時に、確かに今おっしゃったように、領収書等にその投薬料としてまとめて記載しているものがあるのですけども、それも多分多いのでしょうね。投与されている薬品の数が、患者さんによって、当然違いますし、その領収書等の様式を統一するのが、なかなか各病院とも困難なところがありまして、そういう状況のなかで、なるべくその、先ほど申しました薬についての説明書などでですね、配慮できるところから配慮していったらどうかというふうなお願いを病院にしている、という現状でございます。

――勝村:熊本大学と……どこだったかな。熊本大学は早かったのですけど、明らかに、多分そうだったと思います。僕らが要望したことを受けて、熊本大学で始まったというタイミングだったと思うのですよ。それで二校いってますので、今後また病院長会議とか、事務長会議なんかでもそういう見本があるはずなので、こういうかたちで情報交換の一環でね、患者・消費者が自己負担分を支払う際に、どういう単価なのかもできるだけ伝えていくと。国がまずやっていただいて、それを他に広げていくというかたちに僕たちはしたいとまで思っていますので、投薬量の合計だけではなしに、何という薬がいくらで、どれだけの薬を使ってということを、特に持ち帰る薬だけではなくて、点滴や注射の話も出てきますので、そのへんなんかももっと情報提供を、見本となるようなものをですね、やっていくようにまた、病院長会議、事務長会議でもそういうことも伝えていただければと思うのですが、いかがでしょう?

 ご要望の趣旨は、一応会議等の場では伝えてはいきたいと思いますけども、また一方で、患者さんにどういうかたちで情報提供していくかということは、これは医療全体の話ですので、あんまりキャッチボールするわけではありませんけれども、厚労省さん自体ででもですね、患者さんにどういうかたちで情報提供をするかという範囲について、基本的な方針をむしろ私たちも出してほしいな、ということがあります。

――勝村:ま、ちょっといきさつとしては、文科省やろうと決めてくれたのに、厚労省と意見交換したがために、ちょっとぽしゃっているのではないかというような思いも若干あるので、できたら本来こうあるべきだというかたちで見本を、特に国立大学の病院長会議なんかではカルテ開示なんかの時には率先して厚労省に見本になるようなことを遺族にも見せるのだとか、医療裁判が前提でも見せるのだと。最初にやっていったのが病院長会議なのですよね、それを厚労省が後追いしているようなかたちもあるので、あまり厚労省に気をつかう必要もないと思いますので、ぜひ。

――花井:今までの文部科学省の対応は、厚労省なんかに言われなくても、いいことは文部科学省が率先してどんどんやっていくのだと、そういう脈絡で語っておられたので、多分厚労省の顔色はうかがってないと思うのですね。だから、別の理由で止まっていると思うのですよ。だから今後やはり医療消費者として、金額、医療財源が、という問題は厚労のほうにはあると思うのですけども、やっぱりいくらだったんだ、ということはわかるのが当たり前で、医療だけですよね、わからないのは。ですからやはり文科省がリーダーシップを強力にとると、やっぱり医療は何だかんだ言ったって文科省がリーダーシップをとるとついてきますから、ぜひそこはお願いしたいというふうに思います。

――勝村:ではちょうど45分になりましたので、最後にホンダ先生、お願いします。

――本多:どうもみなさま、ありがとうございます。私も去年来なかったので、一歩一歩、調査なんかの面ではやっていただいていることもあるのだなということは認識しつつ、学習指導要領のところなんかは、ずっと変わっていないなと思いますので、私も国会の現場で大臣なんかにも質問したいと思いますし、みなさんも役所の責任者の立場で原案を大臣にあげるのも仕事だと思いますので、ぜひ前向きなご検討を本当によろしくお願いいたします。今日は本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。みなさまお疲れ様でした。

――勝村:ありがとうございました、どうも。

――矢倉:みなさまご苦労さまです。事務的な連絡をいたします。これが終わりましたら、地下鉄で霞ヶ関へ、厚生省前へ行っていただくと思うのですが、厚生省、碑の前の行動は1時からです。それで、1階の第4、第5会議室が開いておりますので、どうぞそこへ行ってですね、ご休憩なりそれまでに昼食をとっていただいたらいいかと思います。12時ちょっと前くらいから、厚生省前では肝炎(管弦?)の音楽が鳴ったり、いろいろな語りがあると思うのですが、12時過ぎからは薬被連も3名ほどリレートークに参加いたします。この間、移動していただいてですね、昼食をとって、碑の前の行動に参加していただくというような段取りになります。よろしくお願いいたします。ただ、名簿がそこのへんにありましたら、こちらへください。以上です。


戻る