第3回 政党アンケート(2009年8月)

各政党からの回答一覧

@ 薬害資料館の設置について

厚生労働省の敷地の中に、サリドマイド・スモン・HIV等の薬害の反省を謳った「薬害根絶誓いの碑」が建立されてからちょうど10年が経ちました。しかし、その後もさまざまな薬害が漫然と繰り返されています。私たちは、今後の薬害を根絶するためには、過去の薬害を風化させないことが大切であることから、公共性のある「薬害資料館」の設置を国に求めていますが、貴政党の考えをお聞かせ下さい。
自由民主党   民主党 薬害被害を風化させず、再発を防止するために、関連資料を集積し、公開することは重要である。そうした事業をどのように実施すべきか、検討をすすめる。
公明党    日本共産党 薬害の悲劇を繰り返さないために、薬害の歴史や被害の実態、その原因と教訓を後世に伝えることが重要だと考えます。そのために、ご指摘の「薬害資料館」の設置は必要と考えます。
社会民主党 悲惨な薬害を二度と繰り返さないために、その原因、実相、反省・謝罪、救済に関する資料を集積し公開することは重要です。薬害の根絶に向けて「薬害資料館」の設置は必要だと考えます。 国民新党 基本的には賛成です。但し、資料館の運営構成が天下り先になったり、展示内容が官僚主導にならないよう留意が必要であり、長期的な運営や展望方針を確立しておくべきであると考えます。

A レセプト並みの医療明細書の発行について

薬害エイズや薬害肝炎事件で、患者が、自分に投与された血液製剤の商品名を知ることができなかった、という問題等を受けて、国立医療センターでは昨年4月より、医療機関の窓口で薬剤名なども全て記載されたレセプト相当の詳しい明細書の全患者への無料発行がなされています。ところが、その他の医療機関に対しては、発行の努力義務が課せられるにとどまっており、実質、広がっていません。私たちは、同様の明細書が、一刻も早く全医療機関で発行されるように国に求めていますが、貴政党の考えをお聞かせ下さい。
自由民主党   民主党 ご自分の受けた医療の内容と単価がわかる領収書が発行されるようにすべきだと考えており、どの医療機関でも発行できるようにするにはどのような支援が必要なのか検討し、実施する。
公明党   日本共産党 患者の知る権利を確保するために、使用された薬剤の正式名称などが記載された詳しい明細書交付が必要と考えています。全国の医療機関で交付が実現されるよう条件整備を進めることも必要です。
社会民主党 自分が受けた医療の内容やその価格を知ることは、患者の知る権利を確立する第一歩であると考えます。レセプト並みの医療明細書がすべての医療機関で発行できるよう国の支援と基盤整備をすすめます。
国民新党 賛成です。自分の受けた医療の全内容の明示を受けるのは当然であると考えます。

B 学習指導要領への「薬害」の記載について

私たちは、子どもたちを薬害の被害者にも加害者にもしたくないという思いから、小学校・中学校・高等学校の教育の中で、薬害の歴史を学ぶなど薬害再発防止に向けた教育の充実を求めてきました。特に、薬害被害者の視点に立った人権教育や、薬の安全について考える医療消費者教育の推進等が大切であると考え、学習指導要領の中で「公害」と併記する形で「薬害」を併記するよう要望を続けてきていますが、貴政党の考えをお聞かせ下さい。
自由民主党   民主党 児童・生徒の年齢に応じて、薬害について正しく理解できるよう取組む。
公明党   日本共産党 薬害の歴史や被害の実態、患者の権利や医療に関する情報を教科書に適切に記述するなど、小・中・高校の教育において学べるようにすることは、薬害の悲劇を二度と繰り返さないためにも、医療事故被害を防ぎ自己決定にもとづく治療を保障するためにも、きわめて意義のあることだと考えます。そのために、学習指導要領に「薬害」について記載をすることも検討すべきと考えます。
社会民主党 薬害を根絶するためにも、患者の権利を身につけさせるためにも、学校教育のなかで、子どもたちが薬害について学ぶことは大切です。学習指導要領への記載は、非常に意味があると考えます。 国民新党 公害教育、消費者教育の一環として推進すべきと考えます。

C 大学医学部などの専門教育の内容について

私たちは、薬害を知らない医療従事者が育成されてしまわないように、大学など高等専門教育の医学・歯学・薬学・看護学部において、薬害被害者の体験や思いを直接聞く授業を実施するよう国に要請してきました。文部科学省は、その授業が学生にとってたいへん有意義であることを認め、推進する方向を打ち出してはいますが、制度化されていないために、実施率は少ないままで推移しています。私たちは、このような授業の必修化を国に求めていますが、貴政党の考えをお聞かせ下さい。
自由民主党   民主党 医療に係る学生や医療従事者が大学など高等専門教育機関において薬害について学ぶ機会を確保することは重要であり、その制度のあり方について検討をすすめる。
公明党   日本共産党 薬害の悲劇を繰り返さないために、医師など医療従事者を養成する教育機関において、薬害被害者の体験や思いを聞き、人の命の重み、被害の実態と薬害発生の構造、薬害防止のために果たすべき医療従事者の役割について、深く学ぶことが極めて重要であると考えます。そのため、カリキュラムや国家試験出題基準の中に薬害を位置づけるべきです。
社会民主党 医療従事者の専門教育機関において、薬害に関する授業を必修化することは必要だと考えます。また、医療は人が人に向き合う仕事であり、薬害被害者から直接、体験などを聞く機会は有意義だと思います。 国民新党 推進のために文科省の一層の指導強化と大学の意識向上が望ましいと考えます。

D 文部科学省の審議会や検討会について

厚生労働省は薬害等医療被害者の体験や思いを生かすべく、審議会や検討会にそのような被害者の委員を多く任用しています。私たちは、同様に、医学・薬学教育等の問題を議論する文部科学省の審議会や検討会においても、薬害被害者らが委員として参加できるような仕組みを国に求めていますが、貴政党の考えをお聞かせ下さい。
自由民主党   民主党 文部科学省の審議会や検討会においても薬害等医療被害者の意見を活かせるよう、委員の構成及び運営について検討する。
公明党   日本共産党 ご指摘の通りです。薬害や医療事故被害を繰り返さないために、医学教育に関する検討会や審議会の委員に、薬害や医療被害を受けた当事者を採用し、悲痛な経験から得た教訓を医学・薬学教育に生かすことが不可欠と考えます。これまでも実現に向けて政府を追及してきましたが、さらに前進をめざします。
社会民主党 厚労省と同様に、文部科学省の審議会や検討会においても、薬害被害者らが委員として参加し、意見を反映できるようにすべきだと考えます。医学・薬学教育に薬害被害者の視点は重要です。 国民新党 薬害問題の国民的理解を進めるために公的協議機関に参加してもらうことが大切であると考えます。

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