公開質問状

 貴政党におかれましては、日頃、国政の各分野でのご活躍、心から敬意を表します。
 さて、私たち薬害被害者は、医薬品の副作用や医薬品などに混入した病原体によって人間として当たり前に享受するはずの健康を失い、更に尊い命を奪われました。
 これら薬害被害による身体的・精神的苦痛や困難、家族との別離の苦痛、死の恐怖は到底筆舌に尽くされるものではありません。
 このような経験を通じて私たちは、わが国の薬事行政や製薬企業の利益追求至上主義のあり方が、薬害を不可避的にもたらす構造として存在することを身をもって知らされました。
 この構造が温存されるかぎり、国民は新たな薬害の危険にさらされることになります。
 現に、クロイツフェルト・ヤコブ病が発生し、他の薬害も続けて起こっております。
 私たち薬害被害者団体は、「二度とこのような悲劇を繰り返してはならない」と全国薬害被害者団体連絡協議会を結成し、薬害根絶の運動を進めております。
 1987年(昭和62年)以降、サリドマイド・スモンの薬害の記述が教科書から削られました。
 また、現在の若い医師をはじめ、医療従事者の大半は、これらの薬害の病状をはじめ、発症原因すら知りません。
 これはまさに、教育の欠陥と言わざるを得ません。
 昨年、文部省に要望書を提出し交渉を要請しましたが、
 ・国会議員の紹介がなければ応じない。
 ・一つの団体は一年間に一回のみ。
 ・一回の交渉は三十分以内。
 ・交渉内容の録音は不可。
 ・文書での回答はしない。
という、不当な制約を課せられ、十分な要望や主旨すら伝えることが出来ず、到底、納得のいく回答を得ることができませんでした。
 そこで、貴政党に、次のことがらについてお尋ねします。

  1. わが国が、欧米諸国に比べて薬害が多発することについて、どのようにお考になりますか。
  2. わが国の薬事行政に対して、問題だと指摘できるところはありませんか。
  3. CJDが、なお未解決のまま救済されず、死亡あるいは植物人間になっている現状をどう思われますか。
  4. 教育の重大性が叫ばれている昨今ですが、特に人間の尊厳としての公教育の中で、薬害の歴史・薬害の被害実態を教科書に表記し指導すべきだと思いますが、どう思われますか。

 ご多忙中とは思いますが、上記質問について、別紙回答書にて、6月5日(月)までにご返信下さいますようお願いします。

2000年5月15日

全国薬害被害者団体連絡協議会


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